稲垣喜代志さん84歳=出版社・風媒社を創業 – 毎日新聞



名古屋からの文化、情報発信に尽力した「風媒社」創業者の稲垣喜代志さん=2010年10月ごろ撮影、風媒社提供

 名古屋市で出版社「風媒社」を創業し、社会問題の追及や文化の発信に尽力した同社元会長の稲垣喜代志(いながき・きよし)さんが28日、大動脈解離のため死去した。84歳。葬儀は近親者で営んだ。後日、しのぶ会を開く。喪主は長男収(しゅう)さん。

 愛知県刈谷市生まれ。法政大卒業後、日本読書新聞の編集者を経て1963年、風媒社を創業。本を介して情報が風に乗って広がるようにとの願いを社名に込めた。反原発、反戦を貫き、建設反対運動が起きた長良川河口堰(ぜき)問題など、東海地方が現場の社会問題を全国に提起することを心掛け、出版した書籍は1000冊を超える。

 陶芸家の加藤唐九郎との出会いから陶芸にも造詣を深め、「唐九郎のやきもの」を共著で執筆するなど作家としても活躍した。2001年9~12月には、毎日新聞のコラム「新聞時評」を担当した。

 11年に大腸がんが見つかったが、治療後も出版への情熱は衰えなかった。今年6月に会長を退任したが、最近まで「名張毒ぶどう酒事件」を題材に冤罪(えんざい)について考える企画を立て、資料を読み込んでいた。



 名古屋市内の陶芸展で知人と歓談中に突然倒れたといい、風媒社の山口章社長(67)は「間違ったことを許せないという怒りがエネルギーになっていた。反骨の人だった」としのんだ。【岡村恵子】



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