保育の安心 現場の実態把握を急げ – 北海道新聞



 給食は少ない時にはスプーン一杯程度。園児は慢性的に栄養面で不十分な状態が続いていた―。

 今月に入って、兵庫県姫路市で明るみに出た私立認定こども園の保育実態だ。

 園児への対応ばかりではない。不当に公費や利用料を得ていた悪質な施設運営が浮き彫りになった。驚くばかりである。

 政府は待機児童解消を掲げ、受け皿整備の号令をかけている。しかし、それによって質より数字が重視され、子どもにしわ寄せが行くようでは本末転倒である。

 姫路市には、今回の不正実態の徹底的な解明を求めたい。

 道内を含む他地域の行政機関も、類似のケースがないか、しっかりと調査する必要があろう。

 問題のこども園は、2015年に県から認可を受け、認可外保育所から昇格した。

 ところが、定員の1・5倍の園児を受け入れ、定員外の園児の保護者から徴収した利用料は簿外処理していた。

 行政による監査日には超過分の児童を休ませるなど、巧みに不正の発覚を免れていたという。

 保育士数も実際より多く見せかけて公費を得ていた。

 保育士に対し、欠勤や遅刻時の罰金を科したり、時間外勤務手当を支給せず、労働基準法違反の疑いも浮上している。

 姫路市は、認定時から交付してきた公費の返還を求め、詐欺容疑で園長を刑事告訴する方針だ。兵庫県は近く認定取り消しなどの措置を取る構えという。

 ここまで子どもをないがしろにした施設運営は特異かもしれない。だが、待機児童対策が急がれる陰で、こうした事例が他にないと言い切れるだろうか。

 政府は「待機児童解消加速化プラン」に基づき、17年度までの5年で50万人分の保育の受け皿整備を目標に掲げ、既に30万人超の整備を終えたと発表している。

 それでも、待機児童数は減っていない。このため政府は昨年、保育士配置数などで国より厳しい基準を設定する市区町村に対し、規制緩和を求めている。

 ただそれも、安心して子どもを預けられることが大前提だ。

 保育環境が整っていない施設をいくら増やしたところで、親子にとってはマイナスでしかない。

 政府や自治体は、そうした視点をしっかりと持つべきだろう。



 保護者も、子どもの預け先が安心して預けられる施設なのか、きちんと目を光らせてもらいたい。


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