「労働基準関係法令の違反企業」の公表開始から4カ月、累計520社に(東京商工リサーチ)



 厚生労働省が9月15日までに労働基準関係法令(以下、労基関係法)に違反し、企業名を公表した企業数が520社(累計525件)にのぼった。
 労基関係法の違反企業名の公表は、2016年12月に厚生労働省が発表した「過労死等ゼロ」緊急対策に基づく。厚労省労働基準局監督課が「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として各都道府県の労働局別に2016年10月以降の違反企業を公表している。
 5月10日の1回目から9月15日までに5回更新されている。企業名の公表は、公表日から概ね1年間としているが、公表を続ける必要性がなくなったと認められる場合や是正及び改善が確認された場合は削除される。ただ、これまで一旦公表され、改善や是正などで非公開となった企業数は520社中98社(構成比18.8%)と2割未満にとどまり、継続して企業名を公表されている企業が8割を占めている。

 東京商工リサーチでは労基関係法に違反し、これまでに企業名を公表された520社を分析した。違反企業の産業別は、最多は建設業の182社で全体の35.0%を占めた。次いで、製造業が117社(構成比22.5%)、サービス業他が104社(同20.0%)の順。また、倒産や休廃業・解散した企業は判明分だけでも22社(同4.2%)にのぼった。
 売上高が判明した380社では、10億円未満が260社(同68.4%)と7割にのぼる一方、100億円以上は31社(同8.1%)と1割未満にとどまる。第1回調査時(2017年5月)でも、売上高10億円未満の構成比は67.2%で、中小・零細企業が占める比率に変化はない。
 大手企業の労基関係法違反は知名度も高いだけに注目を集めやすいが、違反企業の実態は中小・零細企業が大多数を占めている。業績の二極化が拡大する中で、受注や納期、利益確保が至上命題の中小・零細企業は、法令順守にまで手が回らない厳しい現実も垣間見える。 

※厚生労働省が5月10日以降、ホームページ上に掲載した「労働基準関係法令違反に係る公表事案」で公表した企業520社(累計525件)について、TSR企業データベース(310万社)から産業別、売上高別などで分析した。
※本調査は「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査(2017年5月17日)に引き続き、今回が2回目。

◇2017年3月に突出 企業名公表後も減少せず
 2016年10月以降、企業名公表の対象となる送検日を月ごとにみると、2017年3月が120件と突出している。ただ、毎月コンスタントに法令違反の事案は発生しており、企業名公表がスタートした2017年5月以降も6月51件、7月32件、8月46件と公表数が減る傾向はみられない。全体の7割が売上高10億円未満の中小企業だけに、これまでの仕事の進め方やコスト削減、人手不足など様々な要因を背景に、企業名公表の抑止効果はまだ現れていないようだ。  

◇労基関係法違反企業 最多は愛知県の44社
 各都道府県の労働局別に集計した労基関係法違反企業は、愛知県が最も多く44社(構成比8.3%)だった。2番目の大阪府33社(同6.2%)より11社多く、労基関係法違反の企業数が突出して多い。
 以下、北海道28社(同5.3%)、福岡県23社(同4.3%)と続き、企業数が他の道府県より圧倒的に多い東京都は22社(同4.1%)と、5番目だった。
 逆に、公表された労基関係法違反企業が最も少なかったのは石川県の2社(同0.3%)だった。次いで、徳島県3社(同0.5%)、宮城県、栃木県、群馬県、富山県、佐賀県が各4社(同0.7%)と続く。
 地区別では、企業が集中する3大都市圏を抱える関東、中部、近畿と九州が多い。最多は関東の96社(同18.2%)。次いで、中部89社(同16.9%)、近畿86社(同16.3%)、九州80社(同15.2%)と、上位4地区は80社以上で拮抗している。

◇改善・是正による非公表化は2割未満 
 労基関係法違反企業の公表制度で、公表を続ける必要性がなくなったと認められる場合や是正及び改善が確認された場合は削除(非公表化)される。2017年5月の第1回公表以降、社名が非公表化されたのは全国で98社(構成比18.6%)で、全体の2割未満にとどまる。9月15日時点で、これまで公表された520社のうち422社(件数ベースでは427件)が継続して公表されている。
 非公表化された比率が最も高いのは高知県で、これまでに累計10社が公表されたが、このうち6社が是正・改善されたとして非公表化、9月15日時点での社名公表は4社に減少している。一方、14県(構成比29.7%)は、これまでに1社も非公表となった企業がない。

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