東証「市場対話」に課題 異例の長期化、批判も – 日本経済新聞



 東京証券取引所は11日、東芝株について内部管理体制に問題のある「特設注意市場(特注)銘柄」の指定を解除すると発表した。企業統治や決算の開示体制などに改善がみられたという。指定から解除まで約2年という異例の長期審査で、一部には「大企業優遇では」との批判も出た。審査の透明化に向け、株式市場との対話を積み重ねることが求められそうだ。

 会計不祥事を起こした東芝は2015年9月に特注銘柄に指定され、東証から委託を受けた自主規制法人が審査を続けてきた。(1)経営トップの暴走を防ぐ企業統治体制(2)リスクをよく分析した経営判断プロセス(3)正しい決算を迅速に開示する体制(4)子会社の管理――の4点について改善がみられ、解除を決めた。米原発子会社の損失計上を巡る監査法人との対立については、東芝の対応に問題はなかったとした。

 解除までに要した時間は約2年で、特注制度が今のルールに改められた13年8月以降で最長だ。異例の長期化は、市場の一部に不安や疑念を持たせた。「大企業は上場廃止にしない」「原発の廃炉事業を担う国策企業だけに、政府の圧力で上場廃止にできない」といった見方が浮上。ヘッジファンドや個人の投機的な売買を呼び込んだ。

 11日に記者会見した自主規制法人の佐藤隆文理事長は「政府からの圧力はなかった」と強調。「幅広い事業分野を抱える企業の場合、時間がかかるのは仕方がない」と釈明した。実際、審査では歴代の経営トップに加え、役員や一般社員、公認会計士などへの聞き取りを実施。議事録を取り寄せ、意思決定プロセスを確認したという。

 今回の審査の過程で見えにくかったのは、東証と自主規制法人が「何を問題視して、どの程度の改善を求めているのか」という点だ。

 東芝の特注指定は会計不祥事が理由だったが、特注指定中に米原発事業の巨額損失が発覚し、自主規制法人の審査範囲が広がった。その後も決算発表の遅延や半導体メモリー売却を巡る混乱など問題が相次ぎ、そのたびに上場廃止を意識した投機的な売買が市場で繰り返された。上場廃止の基準が外からは分かりにくいことも投資家の不安を招いた。

 上場維持・廃止の判断は個社の事情を考慮しなければならないため、自主規制法人の裁量の余地は出てしまう。そもそも特注制度は不祥事企業をすぐに上場廃止にせず、管理体制の改善を求める制度だ。ただ、東芝の不祥事が異例の規模だっただけに「審査の途中経過を説明するなど、予見可能性を高めてほしかった」(国内運用会社)との声はくすぶる。



 東芝側は11日、特注解除の決定を受け「市場関係者や株主に多大なるご迷惑とご心配をおかけした。グループ一丸となって信頼回復に全力を尽くす」とのコメントを発表した。内部管理体制に関する再発防止策やその進捗状況などの詳細に関しては、後日開示する方針も示した。


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