東芝メモリ売却 責任問題はなお残る – 東京新聞



 紆余(うよ)曲折の末、東芝の半導体子会社の売却先が決まった。大きなハードルを越え再建に向けて前進するが、主力事業の育成、企業統治など課題は山積する。なによりも経営の刷新が不可欠となる。
 半導体子会社「東芝メモリ」の売却先は二転三転した結果、六月に優先交渉権を与えた日米韓連合で決着した。米投資ファンドを中心に韓国の半導体大手、東芝も含めた日本企業が出資。議決権の過半は日本勢が握り、雇用や技術の流出を防ぐ。
 米半導体大手ウエスタン・デジタル(WD)との訴訟が続くため政府系ファンドの産業再生機構、日本政策投資銀行は当面、出資を見合わせる。訴訟の行方次第では一連の手続きが白紙に戻るリスクも残るが、一応の結論が出たといえる。
 東芝はすでに東証一部から二部に格下げとなっている。独占禁止法の審査があるが、二兆円規模の売却益で今期末の債務超過を免れれば、上場廃止による信用急落を回避して再生への一歩を踏み出すことになる。
 ただ東芝が抱える課題はあまりにも大きい。
 「解体的出直し」は常套句(じょうとうく)だが収益の柱だった中核事業の白物家電、医療機器、半導体子会社を次々に手放し、原発事業からは撤退した東芝は、すでに解体が進んでいる。
 残る事業は水道やエレベーター、鉄道など社会インフラ関連、火力や水力発電中心のエネルギー関連など。第四次産業革命といわれる変革の中で、中長期的に競争力を維持強化していけるのかは予断を許さない。
 東芝再生には何よりも隠蔽(いんぺい)体質の一掃、企業統治や内部管理の強化という経営刷新が重要になる。
 米国での原発事業の失敗が示す判断の遅れ、海外事業の運営管理や契約など基本的な能力の欠如。
 不正会計で明らかになった社内の権力闘争と統治、指導力不足。退任した元社長会長が影響力を残す院政や機能しなかった社外取締役制度。
 決算を巡る監査法人との対立はまだ続いている。
 指摘しておきたいのは、不正会計が経営陣主導による粉飾決算だったかどうか−その責任を曖昧にしたままでは東芝の病根、隠蔽体質は一掃できないという点だ。
 刑事告発すべきかどうか、証券取引等監視委員会と検察当局の間での議論は決着していない。結論を見守りたい。

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