3月28日付 残業100時間未満 もっと減らす努力が要る – 徳島新聞




 政府が導入を目指す罰則付きの残業規制について、繁忙期の上限を「月100時間未満」とする案が固まった。 事実上、青天井となっている残業時間に上限を設けるのは一歩前進である。だが、働き方改革の原点となった「過労死ゼロ」の目標を達成するには不十分だ。

 きょう政府がまとめる働き方改革の実行計画に、この残業規制を盛り込み、労働基準法改正に本格着手する。これを出発点とし、上限をさらに下げるよう努めなければならない。

 新たに設ける残業上限は月45時間、年360時間を原則とし、繁忙期に限り、年6カ月まで月45時間超の残業を特例で認めるというものだ。

 その場合でも年720時間、月平均60時間以内で、2~6カ月の平均は月80時間以内とする。さらに、どんなに忙しくても、月単位では100時間未満が限度とした。

 現行の労基法は、労使が協定(三六協定)を結んで特別条項を設ければ、いくらでも残業をさせることができる。長時間労働の元凶とされ、上限規制は連合など労働界の長年の悲願だった。

 問題は、月100時間の残業が「過労死ライン」と同じであることだ。厚生労働省は脳・心臓疾患の発症前1カ月に100時間、または2~6カ月にわたり月80時間超の残業があったのを、労災認定の目安の一つにしている。

 もとより、これを下回れば安全というわけではない。2015年度に認定された過労死96件のうち、54件は残業が月100時間未満だった。精神疾患による過労自殺も未遂を含めた93件のうち、100時間未満が36件に上った。

 残業を100時間未満まで認めることに、過労や過労自殺で亡くなった人の遺族らから「繁忙期なら命を落としてもいいのか」などと、反発が出ているのは当然だろう。

 規制の内容を協議してきた連合と経団連の労使代表は、合意文書の中で、繁忙期でも「月45時間、年360時間の原則に近づける努力が重要だ」とうたっている。

 各事業所が長時間労働の弊害を認識し、ワークライフバランスや労働生産性の向上に注意を払うべきなのは言うまでもない。

 上限の設定に対して、企業の間からは「急な発注に対応できない」といった不満も出ている。過剰なサービスや品質への要求、短い納期の要請など、長時間残業を生む商習慣の見直しが急務だ。

 違法なサービス残業の根絶に向けて、労働基準監督署の態勢強化も求められる。

 看過できないのは、終業後に一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」の導入が、企業の努力義務にとどまりそうなことだ。法律で義務付けるのが筋だろう。



 長年の労働慣行は一朝一夕には改められない。働き方改革が実りのあるものになるよう、政府と労使は今後も議論を重ねる必要がある。


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