自社のSDGsを経営戦略や行動計画に盛り込むケースも – 環境ビジネスオンライン (登録)



前回、ESG投資の歴史と現状について述べた。投資というと通常上場企業が対象だから未公開企業には無縁の話にみえるかもしれない。しかし、未公開企業であっても、ESG投資の浸透は二つの観点から企業経営に影響を及ぼすのである。

なぜか?まず認識いただきたいのは、投資家が突然脈絡なく財務情報に加えてESGについても評価するようになったわけではないということである。既に述べてきたことであるが、ESG投資の背景には、社会の枠組みや価値観が世界規模で変化し始めたことがある。

具体的には、経済的な価値(利益)だけでなく、環境や社会に与える影響、株主以外のステークホルダーの評価についても企業価値の重要な側面として理解されるようになっており、それが、上場か非上場かに関わらず企業経営(CSR)や投資(ESG投資)を含めた金融市場にも影響を与えているのである。

具体的にどういうことか?CSRの側面からすると、ESG投資家に対峙していない未公開企業であっても、国際的な経済の枠組みが変化しつつあり、サプライチェーンを通じてESGに対応せざるを得なくなってくる。更に、金融市場においては、上場株式投資だけでなく、ESGを企業価値として評価するという発想やその具体的な手法が、債券や不動産などの他の資産への投資や、銀行の融資判断にも浸透している点である。

パラダイムシフトをもたらす新たな国際的枠組み:SDGsとパリ合意

サプライチェーンを通じた影響とはなにか?2015年には、こうした動きを後押しする国際的な経済社会の枠組みが国際的に合意されているのだ。9月の国連総会において全会一致で採択されたSDGs(「持続可能な開発のための2030アジェンダ」)と12月のパリ合意である。パリ合意は気候変動対策として世界規模でのCO2の大幅な削減を目指すものでマスコミでもそれなりに報道されているので、ある程度認知度は高い。一方SDGsはまだほとんど知られていないが、これからのグローバルな経済活動にも長期的に大きな影響力をもたらすと予想されている。

SDGsとは先進国・途上国すべてが、人間社会を持続可能にするために取り組むべき国際社会の行動計画であり、17のゴール(図表1参照)とそれを達成するための169のターゲットが設定されている。この17のゴールは、貧困撲滅から安全と平和、人権の擁護と、イノベーション、エネルギーや雇用、持続可能な都市づくり、気候変動、陸上と海洋の生態系保全など、社会・環境・経済の3分野にわたる新たな国際社会の枠組みを目指すものである。この17のゴール達成に向けて、国家、企業、金融機関、NGOなどあらゆる主体が、主体的に取り組むことが求められている。日本でも2016年5月に安倍首相を本部長にしたSDGs推進本部が設置され、各省庁での取り組みが始まっている。

図表1 SDGsの17のゴール (出所)国連広報センター

(出所)国連広報センター

企業の取り組みも始まっている。筆者が思いつくだけでも、伊藤園、キリンホールディングス、富士ゼロックス、住友化学、不二製油、SOMPOホールディングスなど、自社のSDGsを自社の経営戦略や行動計画に盛り込むケースが出てきた。

また、これからどうやってSDGsを経営計画に取り込もうかという、相談を受けるケースも増えている。

金融業界も取り組み始めている。国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)はこの1月30日、世界の主要金融機関19社とともに、金融機関がSDGs達成に向け積極的な投融資を行うための原則「ポジティブ・インパクト・ファイナンス原則(PPIF)」を制定し、今後金融機関への活用を働きかけていく。



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