高速道財政融資 採算を吟味して無駄を避けよ – 読売新聞



 新たな事業は投資と収益の採算性を厳しく見極める。その原則を揺るがしてはなるまい。

 政府は、高速道路網の整備を加速するため、国の信用力を使って低金利で資金調達する財政融資を活用する方針を決めた。

 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東海環状自動車道の未開通区間などが対象となる。

 2018年度の財政投融資計画に盛り込まれる見通しだ。高速道路の資産を保有する独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」が、返済期間40年で1・5兆円の融資を受ける。

 機構自ら資金調達するよりも1兆円分の金利負担が軽減されるという。余剰資金は他の道路整備に充てることが可能になる。

 石井国土交通相は「高速道路整備で輸送効率が向上して、生産性が高まる」と強調する。

 資金の余裕がバラマキを招いては本末転倒である。

 圏央道の周辺では、通販業者の倉庫建設などが進む。高速道路の整備が、物流効率化を促す効果はあろう。それは、長期的な人口減少や少子高齢化を見据えた慎重な判断があってこそのことだ。

 財投は、返済が前提の仕組みのため、一般会計よりチェックが甘くなりがちだとの指摘がある。

 旧道路公団は、不採算の高速道路建設で債務が膨らみ、批判を浴びた。財投の安易な活用に歯止めをかけなければ、同じてつを踏む懸念は高まろう。

 民営化された旧道路公団の巨額債務は、機構が引き継いでいる。債務の返済原資は、高速道路会社が徴収した料金収入などだ。経営効率化が進まず、収支見通しが狂えば、国民にしわ寄せがいく。

 財投は、整備新幹線など道路以外にも使われている。経済性が疑問視される事業は少なくない。

 46年に大阪まで延伸する計画の北陸新幹線の場合、沿線人口の減少が見込まれる中、需要予測の甘さを指摘する声がある。

 道路や鉄道、地方空港などの整備は選挙の「票」につながる。そんな意識で採算度外視の事業を進めても経済効果は見込めまい。

 インフラの老朽化で、大規模な補修・改良工事が必要な道路や橋梁きょうりょうなどは多い。トンネル崩落といった事故を防ぐため、安全対策にこそ注力すべきではないか。



 政府が掲げる「国土強靱きょうじん化」を名目にした無駄な公共事業は、将来世代に借金のツケを残すことになりかねない。成長に資する事業に絞り込むことが重要である。


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