『polca』ユーザー数3万へ!家入一真に口説かれた男、元Google 小久保浩大郎が語るお金のUX – CAREER HACK (ブログ)



お金がコミュニケーションと共にあるために。

CAMPFIRE CXO 小久保浩大郎さんだが、じつはCAMPFIREにジョインしたばかり。それまではGoogleにてインフォメーションアーキテクト/UX設計を担ってきた経歴の持ち主だ。彼はCAMPFIREの何に惹かれたのか?

「FinTechはほとんど素人でした。ただ、家入さんがものすごくおもしろいことをしようとしている。そこに加わりたいと思ったんです」

そして彼の口から語られたのは、CAMPFIREがどのようにして「FinTech」という領域に飛び込んでいこうとしているのか。そこには「お金」がコミュニケーションと共にあるために、彼らが最も大切にする「考え方のフレーム」があった。

※2017年9月に開催された「UI Crunch #11 金融業界に革命を起こす、FinTechスタートアップのUIデザイン」よりレポート記事をお届けします。


[プロフィール]
CAMPFIRE CXO 小久保浩大郎
2002年にビジネス・アーキテクツに参加。フロントエンドエンジニアとして多くの大手企業サイト開発プロジェクトに携わる。2009年、インターフェイスデザイナーとしてInformation Architects, Inc.に参加。海外クライアントや自社プロジェクトのUI開発を経験、その後フリーのフロントエンドアーキテクトとして、大規模サイトの実装設計やウェブアプリのUI開発などを担当。2011年よりウェブマスターとして Google に勤務。2017年8月よりCAMPFIREにUI CXOとして参加している。

テック×デザイン for people|お金はテクノロジーそのもの

はじめに小久保さんが提示したのは「テック×デザイン for people」と銘打たれたこの図。仕事をしていくにあたって一番大切だと考えている部分だという。

Tech x Design for People

「テクノロジーが最初に来ているということが僕にとってはすごく重要なんです。UIやエクスペリエンス全般を見るのが仕事なので、デザイナー寄りの職種ではあるんですが、個人的にはデザインよりまずテクノロジーが先だと思っています。なぜならテクノロジーがもっとも世界を変える力が強いから。デザインはテクノロジーをいかに人が使えるようにするかというものだと思っています」

「テクノロジーと言われたら何を思い浮かべるか」という問いに、会場から出た答えは「AI」や「VR」といった最新のもの。小久保さんはテクノロジーとは新しいものだけを指すのではないと言う。

「僕はこの世にあるものは、だいたいテクノロジーだと思っています。たとえば今、夜にも関わらずお互いの顔が見えていること。これもテクノロジーの賜物じゃないですか。僕たちが安全に道を歩けるのも水道の蛇口をひねれば水が出てくるのもそう。そういったテクノロジーのなかで、僕たちが便利に使っていて、その分依存しているもの、それがお金だと思うんです」

お金 = テクノロジー

お金をテクノロジーそのものだと考えるのにはこんな理由がある。

「お金を発明したことによって、人間は物々交換という原始的な方法から脱し、もっと高度な『価値の操作』ができるようになっりました。お金を媒介にすることで、価値の交換・保存・計量が可能になったんです。これはまぎれもなく革命的なテクノロジーだといえます」

お金が価値に対して可能にしたこと

そしてお金というテクノロジーは、現在までさまざまな変化を遂げてきている。かつては「金」という物理的な価値があるものの量に対し、どれほどの価値をつけていたり、政府や銀行が発行する紙幣に信用という価値を持たせていたり。

実現した仕組みの歴史

しかし現在、価値が決まるシステムはもっと複雑になっていると小久保さんは語る。

「お金のシステムって、シンプルで単純なものだと思いがちなんですが、実際はとても複雑で難しいんです。たとえば、ネットバンキングのサービスを使っている人は、画面に表れる数字を見て自分の資産を確認するわけです。ただ、考えてみればそれはコンピュータに表示されたただの数字にすぎない。それなのになぜ僕たちはその数字が価値を表すものだと思えるんでしょうか。実はその数字の価値を成り立たせるために、裏側ではすごく複雑なシステムや信用を担保するための仕組みが動いている。そう考えると、お金って複雑で難しいものなんだなと、気付いてくるんじゃないでしょうか」

紙幣やコインなど「貨幣」はインターフェースそのもの

複雑で難しいお金は、どのように扱うべきか。小久保さんの意見は意外にもは「難しさを解消する必要はない」ということだった。

「僕たちは物事の仕組みをあまり理解していなくても、それを利用することができるからです。お金の複雑さや難しさを知らない小学生だって、300円を持っていっておやつを買うということはできますよね。それは、複雑さを隠蔽するインターフェースのおかげ。たとえば、家に帰ってリモコンのスイッチを押すとエアコンが付きます。その裏側にはものすごいテクノロジーがあって、複雑な仕組みがあるにも関わらず、僕たちはそれをま意識することなく使っている。それは複雑さを隠蔽したインターフェースが実現されているからなんです」

貨幣 = インターフェイス

そしてこの「複雑さを隠蔽したインターフェース」こそが、紙幣や硬貨などの貨幣そのものなのだという。本来は複雑で難しいお金の仕組みだが、貨幣というインターフェースを使うことで、その便利さだけを享受できる。

「インターフェースは僕たちの身の回りに溢れていますが、その裏側にある仕組みを理解する必要はないし、知らなくても利用することができる。お金についてもまさにそうです。ただ一方で、これまでのようなお金の話ではなく『FinTech』ということになると、難しいところがあるんじゃないかという議論もあります」

というのも、お金の仕組みが発展するなかで「お金というのは情報そのものだ」という事実がつまびらかになってきたからだという。たとえば画面に表示されている数字がなぜ価値をもつのか。複雑な仕組みはわからなくても、情報のやりとりのなかで信用が与えられ、価値があるとみなされるということが、一般的に知られるようになってきたのだ。

「『情報は自由になりたがっている』というスチュワート・ブランドの言葉があります。情報は本質的に自由になりたがっていて、それを避けることはできない。それでは情報が自由になるとどうなるかというと、多様性が生まれてきます。すると、ある形と別の形の間にそれを埋めるような形が存在するようになり、ものの在り方がグラデーション化していくんです。これはものの在り方がとても滑らかな状態であるといえます」

そして、CAMPFIREが目指していることこそ、お金というものの在り方がグラデーション化され、滑らかに巡る社会を実現させることなのだ。

『polca』に込められた思い。運営側のスタンス

現在、CAMPFIREがリリースし、話題になっているのが『polca』だ。リリース1ヶ月にして3万ユーザーを突破。少額からできるファンディングサービスとして話題だ。

polca

「『polca』は従来よりももっと内輪、かつ少額でクラウドファンディングを行えるようにしたサービスです。人のチャレンジに乗っかっていく、いわば共犯関係を作り出すためのプラットフォームです」

『polca』で行われているクラウドファンディングは「個展をやりたい」「友だちに結婚祝いを贈りたい」といった、従来のクラウドファンディングよりも気軽なものばかり。すでに「なめらかなお金」の巡りを体現するものとして社会実験としても注目される。小久保さんは、このようなサービスを提供するCAMPFIREの役割は、プラットフォームを作ることだという。

「あくまでも主役はプラットフォーム上でプロジェクトを起案して実行していただくオーナーさんと、そのプロジェクトやオーナーさんの夢を応援したいという支援者さん。僕たちはただのプラットフォームにすぎません。だからユーザーさん同士がどんなコミュニケーションを築くか、それは僕たちがタッチすべきところではないんです」

オーナー・支援者

実際に「polca」のインターフェースは、オーナー自身が思いやストーリーを綴る画面がメインになっていて、CAMPFIRE側が提供しているのは、オーナーと支援者のコミュニケーションを外部から刺激するためのインターフェースとなっている。

モメンタムUX

「デザインを決めるとき、シナリオを書いて設計していきます。オーナーさんと支援者さんのユーザーエクスペリエンスに対して、いわゆるUI(GUI)ができることは限られています。UX白書でいうところの『モメンタムUX』の部分しか直接は触れていない。そのためコミュニケーションを作るには、UIデザインというよりもっと広い文脈からUXを作り上げていく必要があるんです」

続けてUXを作り上げていくとき、やはり一番重要なのは「誰に対してサービスを提供しているのか」という視点であると語った。

「最終的にはマジョリティを狙っていかないといけないんですが、そのずっと前の段階として、新しいサービスを積極的に使ってくれるイノベーターとかアーリーアダプターといった人たちに対して、まずはコミュニケーションをしていかなければならない。その人たちがハブになってくれるようなポテンシャルをインストールしていかなければならないんです」

「つまり、僕たちが提供すべきインターフェースは、サービスがリリースされてすぐの段階と、ある程度認知されてからとでは、まったく違う。はじめは、いかに正しく理解してもらえるか、障害なくすんなり入って、新しい体験に踏み出してもらえるかどうかという部分を意識しなければならないんです」

多様性と寛容性がある社会へ。「次世代の貨幣」を作る挑戦

登壇の最後には「FinTech」に対する自身の考えを語ってくれた。

「FinTechって、すでに理解している人や資本も持っている人が、投資することによってリターンを得て、格差がどんどん開いていくようなイメージがあるかもしれません。ただ、少なくともCAMPFIREが目指している未来はそれとは対局にあるものです。『サピエンス全史』という本に『貨幣は人類の寛容性の極みである』という言葉が出てきます。貨幣は、人間が生み出した信頼制度のうち、どんな文化の間の溝も埋め、性別や宗教、人種、年齢、性的嗜好にもとづいて差別することがない唯一のものだということ。貨幣があるおかげで、見ず知らずの信頼関係のない人同士でも、やりとりができるんです」

この内容を読んだとき、小久保さんは「金があれば何でも買える」という堀江貴文さんの言葉を思い出したという。世間では誤解されがちな言葉だが、その真意は「お金によって買えないものがある社会というのは、フラットな価値の交換という原則からはずれ、なんらかの制約がある差別的なものだ」ということだ。



「貨幣やお金、そしてFinTechというものを僕たちはこれから推進させようとしています。それによって目指すべきは、多様性と寛容性がある社会を成立させうる礎を作ることだと思っています。それでは、次世代の貨幣に相当するインターフェースはどんなものになるべきなのか。この答えはまだ誰も持っていません。ただ『次世代の貨幣を作る』という思考こそが、今後FinTech領域でデザインを考えていくうえでフレームにすべきものだと思います。アラン・ケイの言葉を借りますが、未来を予測する最善の方法は、それを発明することです。みなさんで『次世代の貨幣』となるようなインターフェースを一緒につくっていきましょう」



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