長年の合弁相手から起こされた訴訟 『実録!トラブルシューティング』第48回 – ニュース屋台村




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1977年よりタイを拠点として、日本の政府機関の後方支援に携わる。現在は民間企業への支援も展開、日本とタイの懸け橋として両国の発展に貢献することを使命としている。

今回は、日本企業のタイでの現地法人A社と、その設立時からの合弁相手であるタイ企業B社との訴訟トラブルについてご紹介します。

A社はタイ進出時にタイ企業との合弁でタイ内資企業として設立され、パートナー会社であるB社およびB社のタイ人責任者とは長年にわたって良好な関係を続けていました。タイの法人は、会計年度の決算日から4カ月以内に株主総会を開催し、監査済みの自社の財務報告に対する承認を受け、株主総会日から1カ月以内に監査済みの財務報告および必要書類を商務省の登記官に提出する義務があります。A社は、タイ側パートナーの了解を得たつもりで、毎年の株主総会を便宜的に書面で開催したことにして、商務省に届け出ていました。

ある時、B社が予告なく突然、毎年届け出ていた財務報告は株主総会の承認を得ておらず虚偽であるとして、A社を相手取り刑事訴訟を起こしました。判決次第では、罰則として罰金と禁固刑のいずれかまたは両方が科されることから、A社はこれを回避するためB社に対し、訴訟を取り下げるよう持ち掛けました。

それに対するB社の返答は、数千万バーツという多額の示談金の提示でした。弁護士を通じて交渉を行った結果、最終的な支払い額は数百万バーツにとどまったものの、これまで通り合弁関係を続けることはできません。合弁解消は不可避の状況となり、A社のタイにおける安定的な事業継続にも懸念が生じる事態となりました。

◆重要な決定事項は入念なすり合わせを

タイ側パートナーと表面上は良好な関係を構築しているように見えても実際は、相手側は事業計画や利益配分、役員構成などについてさまざまな不満を抱えていることもあります。双方が合意したつもりでも、日本人とタイ人の間でコミュニケーションギャップが生じ、実は話の真意が伝わっていないということもままあります。特に重要な決定事項でこのようなコミュニケーションギャップが生じた場合には、将来的に会社の存続に関わる深刻な事態に発展する可能性があります。

日本人同士であっても、認識の相違や早合点によるトラブルが生じることはよくあります。ましてや文化的背景が異なり言葉の問題の生じうるタイ人との間では、そのリスクはよりいっそう大きくなるでしょう。日系企業は、タイ側パートナーと出資者としての表面的な関係ばかりではなく、真意をくみ取るための実効性のあるコミュニケーションと、安易に相手の「Good!」や「OKクラップ!」などの言葉を鵜呑(うの)みにしない慎重さをもって事業を行うことが重要です。



そして、残念ながら、民事訴訟や刑事訴訟などのトラブルが発生した際には、顧問弁護士ら専門家にできるだけ早くご相談ください。


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