DeNAより難関のベンチャーを受けてみた #前編 – エキサイトニュース



■中小の転職エージェントはあなどり難し 前回ご紹介した大手の転職エージェントとの面談と並行して、中小の転職エージェントとの接触も図りました。

 一般的に、中小の転職エージェントは、大手と比べて求人数に限りがあるものの、専門性に特化していたり、きめ細やかなサービスをしてくれると言われます。

 こうした中小の転職エージェントは、直接コンタクトをとらなくとも、リクナビNEXT、ビズリーチなどの大手転職サイト経由で連絡をくれます。「こういう案件があるので応募しませんか?」という具体的な提示とともに連絡してくることもあれば、「一度お話しませんか?」というふわっとしたものもありました。

 どこにお宝求人が隠れているともしれません。私は、連絡してくるすべてのエージェントと、一度は必ずお話をすることにしました。

■提示された報酬にときめく

 初めて連絡をもらったのは、「ストラテジックパートナーズジャパン」という転職エージェントで、とあるベンチャー企業の編集の仕事を提示してきました。

 早速、ストラテジックパートナーズジャパンのHPを見ると、「ヘッドハンティング・スカウト・サーチ型人材サービス」とあり、「特にエグゼクテイブ層、ハイポテンシャル層、特殊な「技」を持つ層の人財のヘッドハンテイング、スカウト・サーチ型のビジネス展開をしています」とあります。

 エグゼクテイブ層! ハイポテンシャル層!? 気が遠くなりそうです。

 それでも、私はメールを見た瞬間、速攻で面談を希望する旨の返信をしたためました。

 なぜか。

 簡単です。提示されている報酬がとてもよかったからです。

 何が違うのかよくわからない二つのポジションが提示されていたのですが、一つは年収400万~800万円。もう一つはなんと700万~1200万円!

 ウソ~、マジで~! もうこれ転職活動終わっちゃうんじゃない? 

 脳内では実に都合のよい妄想が膨らみます。メールをもらっただけなのに、この提示額マックスで働く自分を想像します。おめでたいヤツです。

 そんなこんなで、メールをもらった2日後にエージェントとの電話面談とあいなりました。

 電話をしてきたエージェントの男性は、声の感じから推測するに40~50代でしょうか。自信に満ちた声色で話しかけてきます。

 生来の卑屈さが芽を出し、「こんなに自分に自信がありそうな人が紹介してくる求人は大丈夫だろうか。リア充の巣みたいな企業だったりして」と心細くなってきます。

 しかし、リア充の巣に飛び込んでもお金はほしいもの。自分を奮い立たせます。

 男性は実に奇遇だ、といった感じで切り出しました。

「実は私、○○県の△△市出身で。職務経歴書に書かれていたニュースもよく記憶しています」

 ○○県とは、私の初任地です。クソ、こうやってリア充は簡単に会話の糸口を見つけやがる(もはや言いがかり)。

 “非リア”の皆さんならおわかりでしょうが、この「糸口」をどの程度まで引っ張っていいのかの判断が非常に難しいのです。別にこの話は今日の主題ではありませんから、どこかで切り上げないといけません。

 しかし、非リアにはリア充のように、滑らかに話題を変えることができません。ついつい自分の知っていること、しゃべりたいことをしゃべりすぎて、会話のキャッチボールを会話のピッチングマシーンにしてしまうのです。

 私も記者のはしくれだったわけですが、緊張するとしゃべりすぎて失敗してしまうタイプなので、探りながら返答します。相手の発話の倍しゃべっていないか。返答が見当違いになっていないか。何往復か、あたりさわりのない話をしていると、ごくごくしぜんなかたちで男性は本題に入ってくれました。

■聞けば聞くほどいい会社

 今回提示された会社は、元々ソーシャルゲームの企業であること。新規事業でライター経験者を探しているので今回声かけしたこと。新規事業がどんなものか。長時間労働の是正に力を入れていることや、上場したばかりで勢いのあること……。

 聞けば聞くほどいい会社です。本当にそんな会社あるのでしょうか。というか、そんないい会社の求人、すぐ埋まっちゃうんじゃないでしょうか。

 私がそんな疑問を抱いているのが電話越しでもわかったのか、男性は言いました。

「これまでも何人かトライしたんですが、残念ながら採用は見送りになりまして」

「え、何がダメだったんですか?」

 無知の極みですが、こういうエージェントがついたら、わりと簡単に内定が取れるものだと当時の私は思っていました。その後、書類選考通過にも一苦労する現実を知るわけですが。

「まず、求めるレベルに達していないことですね。今、就職が最も難しいのはDeNAと言われていますが、それより求める基準が高いです」

 DeNAが今最も就職が難しい企業ということすら知りませんでした。そんなに難しいのかDeNA。どのくらい難しいか想像もつかないので、この会社のレベルも想像がつきません。

「この人と一生仕事ができるかという基準で見ます。能力はあっても、気持ちのいいコミュニケーションができるかという点で、ちょっと難しいとなることも」

 グサグサきます。

「ストレス耐性も見られますね」

 あると信じたいです。

「純日系企業なんですが、外資的な面もあり、合わない人も」

 外資は大変とよく聞きますが、田舎で働いていると外資系企業の働きぶりを目の当たりにすることがないので、いまいちイメージが湧きません。

 いずれにせよ、何か大変な会社のような気がします。でも、あの年収は捨て難い。

 それに、そんなに難しい会社なら、ダメ元で受けてみて、東京の高いレベルの仕事というのはどんなものか、知るにはいい機会かもしれません。失うものはもう何もないのです。応募したいと告げると、志望動機を書き加えて職務経歴書を送ってくれと告げられます。

 大体の話が終わり、最後に私は尋ねました。

「ところで、どうして今回お声がけ頂いたんですか?」

「第一に記者経験がある点ですね。先方がライティングスキルのある人間を必要としていますから。また、卒業大学が一定以上かどうかも見ています、あとは、正直に申しますと・・・・・・」

 男性は言いにくそうにしています。

 言ってくれ! どんな現実でも受け止める! そんな気持ちで携帯電話を握りしめます。

「申し訳ありませんが、新聞記者の転職は大変難しいので、よい新天地がご紹介できればと思い……」

 だ、だよね~。新聞記者、つぶしがきかないって知ってた!  人脈があるベテランならばともかく、私のように経験が浅い記者ならば尚更です。

 こうして、つぶしのきかない、ひよっこ新聞記者に慈善事業のように手を差し伸べてくれたエージェントと、 二人三脚でリア充の巣に乗り込むことを決めたのでした。

キヨシマの転職メモ
一、転職市場にも拾う神がいる。中小エージェントにも目配せしておくべし。

 ※この連載は、新聞記者として5年働いたキヨシマによる、「脱力系」転職活動記です。書かれていることは全て現在進行形のノンフィクションです。



(キヨシマ)


こんな記事もよく読まれています



コメントを残す