ダウ・ケミカルとデュポン統合、一部農薬など分離 条件付き承認 – 日本経済新聞



 【ニューヨーク=稲井創一】米化学大手ダウ・ケミカルとデュポンは27日、欧州連合(EU)の欧州委員会から条件付きで統合の承認を受けた。一部農薬事業などを分離するが、相次ぐ大手の再編で各国の農家から寡占化への批判が強い種子事業は保有を続ける。EUは「農業分野のイノベーションを減退させないことが重要」と再編のメリットにも配慮したようだ。

ダウ・ケミカルとデュポンの経営統合承認について記者会見する欧州委員のベステアー氏(27日、ブリュッセル)=ロイター

 「今回の承認は統合作業完了に向けて大きなステップとなる」。ダウとデュポンは27日、欧州委員会の決定を歓迎するコメントを出した。EU市場は化学メーカーが多いうえ、仏など農業大国の政治力も強いことなどから統合承認へのハードルは高いとされてきた。

 競争を阻害する懸念を拭うため、ダウとデュポンは欧州委員会に一部事業の分離などを提案。農業化学分野では、デュポンの農薬事業の大半を研究開発拠点も含めて切り離す。米や野菜、果物向けの除草剤や殺虫剤などが対象になるという。化学品ではダウが韓国の石油元売り・化学大手SKイノベーションに一部の高機能素材事業を売却する予定。

 世界の化学メーカーでは大型再編が相次いでおり、ダウ・デュポンのほか中国化工集団がスイスのシンジェンタを、独バイエルが米モンサント買収で統合作業を進めている。いずれも成長分野だが、多額の研究開発費がかかる遺伝子組み換え種子の強化を目的にしている。

 いずれの再編も実現すれば、3グループで世界の種子シェアの6割超を占めるとされるだけに、各国の農家などから寡占化を警戒する声が出ていた。

 EUの競争政策を担うベステアー欧州委員は27日の声明の中で「農業分野はより安全性が高く環境にも優しい新たな製品が必要。イノベーションを減退させないことも重要だ」と指摘。統合審査にあたっては、寡占化による価格上昇や消費者の選択肢の減少といった弊害だけでなく、再編のメリットにも配慮したことを強調した。



 今後、ダウとデュポンは米国や中国などの独禁当局からも承認を得なければならない。米国では統合に対して農家からの抵抗も強いとされる。親ビジネスの政策を掲げるトランプ米政権の判断が注目される。


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