出光創業家が迷走 新代理人、再び強硬路線 昭シェルと合併撤回求める – 日本経済新聞



 出光興産昭和シェル石油の合併を巡り出光創業家が迷走している。1日、創業家の新たな代理人が記者会見を開き、合併に反対する方針を表明した。創業者の長男の出光昭介名誉会長が合併に一定の理解を示し始めていたといわれるなか、「条件付きの賛成もあり得ない」と強調。合併計画の撤回を求める強硬路線に再び転換した形だ。

出光創業家の新しい代理人としての記者会見を前に、汗をぬぐう鶴間洋平弁護士(1日午後、東京・大手町)

 「合併反対の方針は変わらない。条件闘争ではない」。新たな代理人の鶴間洋平弁護士は都内で開いた記者会見でこう話した。第一東京弁護士会に所属する鶴間氏は、昭介氏の次男・正道氏が迎え入れたとされる。

 代理人の就任日は2月8日。昭介氏の依頼を受け代理人に就いた前任の浜田卓二郎弁護士が辞任したのは2月9日だった。関係者は「浜田氏と創業家の一部で意見の食い違いが生じ事実上の解任だった」と指摘する。

 浜田氏は当初、出光と昭シェルの合併に強く反対。出光が昭シェル株を取得できないよう、昭介氏に昭シェルの40万株(0.1%)を購入させるなど対決姿勢を示していた。ただ昨年末に出光が英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)から昭シェル株約31.3%を取得すると、今年に入り経営側との話し合いを再開。対立解消を創業家側に進言していたもようだ。

 1日の会見で鶴間氏が合併反対理由にあげたのは、昭シェルとの社風の違いや、サウジアラムコの合併新会社への出資など従来と同じ内容ばかりだった。鶴間氏は会見で「創業家内の意見は一致している」と強調したが、「89歳と高齢な昭介氏から正道氏らに実権が移ったのでは」との見方も広がっている。

 仮に出光が昭シェルと合併できなかった場合、株価が下がる事態も想定される。これに対し鶴間氏は「創業者の故出光佐三氏の理念を守ることが企業価値を維持するため重要」と指摘。今後の経営戦略については「経営は経営者が考えること」などと語り、具体的な対案は一切示さなかった。

 創業家は33.92%の出光株を保有しており、合併など株主総会での特別決議を否決できる。鶴間氏は「昭シェルとの合併で保有比率が下がることが、反対の大義ではない」と強調したが、出光が昭シェルとの合併を進めるため創業家の議決権を弱めるような手段をとった場合には「あらゆる対抗策を講じる」と強くけん制した。



 国内の石油市場は需要の減少が続く。4月には元売り最大手のJXホールディングス東燃ゼネラル石油が経営統合。ガソリンの国内販売シェア50%超の巨人が誕生する。出光が単独で持続的成長を実現するための選択肢は限られている。


こんな記事もよく読まれています



コメントを残す