東電HD社長「廃炉資金稼ぐのも責任」 福島原発事故から6年 – 日本経済新聞



 東日本大震災から11日で丸6年を迎えた。東京電力ホールディングス(HD)の広瀬直己社長は事故を起こした福島第1原子力発電所を訪れ、「廃炉作業にはまだ30~40年かかる。地元の方と同じ方向を向き、取り組まないといけない」と述べた。「廃炉や復興を進めるため、必要な資金を稼ぎ続けることも責任だ」とも語った。

 6年前に震災が起きた午後2時46分、同社役員や社員が黙とうをささげた。広瀬社長は作業着に身を包み「避難生活をされている方たちに対して申し訳なく思う」と改めて陳謝した。福島原発では700人、東京本社でも240人の社員が黙とうした。

 廃炉に向けた準備や汚染水対策などが進む一方、格納容器内に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しといった困難な作業が今後も続く。東電HDにとっては原発関連費用を捻出するため、収益の改善が急務となっている。

 2016年には東電HDの改革を議論する経済産業省の有識者会議が開かれ、原発事故の処理費用は従来見通しと比べて2倍の約22兆円になるとの試算が公表された。莫大な資金を拠出することが必達の目標となるなか、送配電事業や原子力発電事業の再編などを通じてグループをあげて資金を捻出することを求める提言もまとまった。

 被災地では徐々に復興が進む一方、今なお県外に避難する住民は多く、道のりは道半ばだ。

 東電HDはこの間、持ち株会社化や中部電力との火力発電事業の段階的な統合、6年半ぶりとなる社債発行を進めてきた。ただ電力小売りの全面自由化など事業環境はめまぐるしく変わっている。広瀬社長は「ここ数年のコスト削減策により筋肉質な経営ができるようになってきた手応えは感じている」と話すが、事故処理費用として年間5000億円規模の収益を安定的に捻出することは容易ではない。

 収益を大幅に改善するカギを握る柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働時期も依然として不透明。再稼働に向けては立地地域の理解も重要で、広瀬社長は「東電の信頼は地に落ちた。容易ではないが評価していただけるよう少しずつでも取り組みたい」という。



 今春をメドに再建計画「新・総合特別事業計画」の改定を経産省に申請する方針。それに先立ち、早ければ3月中にも骨子を公表する見通し。東電HDの再建と事故処理が続く今後数十年を占う節目を迎える。(志賀優一)


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