【評伝】西室泰三氏死去 「命懸け」経営、時代とずれも

 3つの重責を担っていた平成27年夏の姿が記憶に新しい。社長を務めていた日本郵政などグループ3社の上場準備を進める一方で、戦後70年談話に関する政府の有識者会議の座長として、報告書の取りまとめに心を砕いていた。

 同時期には、かつて社長を務めた東芝で不正会計が発覚。相談役として社外取締役候補者らを説得し、経営を刷新した。79歳にして激務の後でも、毎日のように自宅近くで記者の取材に一人一人応じる姿はさながら“超人”のようだった。

 しかしその後、東芝は米原発子会社の経営でつまずき7千億円超の減損損失を計上、さらに窮地に追い込まれた。この原発子会社を18年に買収した当時の意思決定に、大きく関わったとされる。既に社長を退いていたが、影響を持ち続け、社内で「スーパートップ」と呼ばれていたほどだ。

 日本郵政社長としても、27年の豪物流会社買収を主導したが、その結果、約4千億円の減損損失が発生。今年、2つの巨額損失に関与したことが話題になり、大きな批判を浴びることになった。

 「私は命懸けでやっているんだ」。晩年、東芝の取材で訪れた同僚記者に覚悟を語ったこともある。しかし、相談役として長期間経営に関与する姿勢は、新しい時代のコーポレートガバナンス(企業統治)には合わなくなっていた。28年の日本郵政社長退任後は、表舞台に姿を現すことはなかった。(高橋寛次)

西室泰三氏死去 81歳 東芝・日本郵政社長を歴任

西室泰三氏死去 81歳 東芝・日本郵政社長を歴任

 東芝や日本郵政の社長を歴任した西室泰三(にしむろ・たいぞう)氏が18日までに死去した。81歳。山梨県出身。死亡日時や死因、葬儀・告別式の予定など詳細は明らかになっていない。

 慶大経済学部を卒業後、昭和36年に東京芝浦電気(現東芝)入社。米国事業などで実績を挙げ、平成8年に社長に就任。カンパニー制や執行役員制導入の改革を進めた。半導体部門の不振や家電不況を受け、不採算部門の売却などリストラ策も断行した。

 東芝会長を務めた後、東京証券取引所会長に就任。証券会社による誤発注事件では、退任した社長に代わって事後処理に奔走した。18年のライブドア事件の際には、全銘柄取引停止という異例の措置で対応に当たった。

 財務省の財政制度等審議会会長や、戦後70年談話に関する有識者会議「21世紀構想懇談会」座長など、政府の仕事も精力的にこなした。

 郵政民営化後の24年には政府の郵政民営化委員長となり、25年には日本郵政社長に就任。27年11月にはグループ3社の上場を果たした。その後、体調を崩して入院したことに伴い、28年に社長を退いた。

 東芝が不正会計問題で経営体制を一新したことを受け、西室氏も相談役を辞めていた。

【評伝】西室泰三氏死去 「命懸け」経営、時代とずれも

【訃報】斎藤寿臣氏(横浜信用金庫名誉顧問)

 斎藤寿臣氏(さいとう・かずみ=横浜信用金庫名誉顧問)7日死去、79歳。告別式は近親者で行った。喪主は長男、慎一(しんいち)氏。お別れ会を11月27日午前11時、横浜市西区みなとみらい2の3の7、横浜ベイホテル東急で開く。お別れ会代表は大前茂・同信用金庫理事長。

早稲田大名誉教授・秋永一枝さん死去 日本語アクセントを研究

 秋永一枝さん(あきなが・かずえ、本名・鳥越一枝=とりごえ・かずえ=早稲田大名誉教授、国語学)9月29日、老衰のため死去、89歳。葬儀は近親者で行った。喪主は夫で早稲田大名誉教授の鳥越文蔵(ぶんぞう)氏。

 日本語アクセントの研究が専門。「古今和歌集声点本の研究」で新村出賞を受賞。「新明解日本語アクセント辞典」「東京弁辞典」などを手掛けた。