たんぽぽ舎メルマガ NO.3184~10/4(水)10時、原子力規制委へ緊急抗議行動・ご参加下さい! – レイバーネット日本

たんぽぽ舎です。【TMM:No3184】
2017年9月28日(木)地震と原発事故情報−
                5つの情報をお知らせします
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★1.10/4(水)10時、原子力規制委へ緊急抗議行動・ご参加下さい!
   新潟からも申入書をもって規制委抗議に参加されます
   東電柏崎刈羽原発の再稼働を認めるな、フクシマは認めない
   「再稼働阻止全国ネットワーク」
★2.「原発と大津波 警告を葬った人々」(添田孝史)を読んで
   津波の安全率1.0を「とりあえず」で決める
   原発の再稼働は認められない
           今井孝司(地震がよくわかる会)
★3.メルマガ読者からの原発等情報1つ(抜粋)
               黒木和也 (宮崎県在住)
   ・原発40年超運転を容認せず いちき串木野市議会
★4.メルマガ読者からの「新潟日報」情報1つ
               金子 通 (たんぽぽ舎会員)
   ・柏崎原発、審査書案を公表−規制委『合格』来月4日以降
★5.新聞より2つ
  ◆柏崎刈羽原発「適合」 フクシマが認めない
         (9月28日東京新聞朝刊5面「社説」より抜粋)
  ◆カネといのち   鎌田 慧(ルポライター)
       (9月26日東京新聞朝刊27面「本音のコラム」より)
━━━━━━━
※9/30東海村JCO臨界事故を忘れない!18年目の追悼と抗議
 ぜひご参加を!そしてこれも高速炉「常陽」の燃料か?
 6月6日発生…大洗のPu被ばく事故!
  日本原子力研究開発機構(旧動燃も含む)の追及も!

  日  時:9月30日(土)朝10時から11時(抗議・黙祷・献花)
  場  所:経産省別館前(経産省の飯野ビル側)
  よびかけ:たんぽぽ舎
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※10/1原子力空母いらない!オスプレイNO!爆音なくせ!
 原発ゼロ!戦争法廃止!市民と野党の共同で安倍政権の退陣を!
 母港化に反対する10・1横須賀集会にご参加を!

 日 時:10月1日(日)15:00より
 会 場:ヴェルニー公園(京浜急行汐入駅下車3分)
 主 催:神奈川平和運動センター/三浦半島地区労働組合センター
 共 催:平和フォーラム/全国基地問題ネットワーク/
     関東ブロック連絡会議
 たんぽぽ舎も旗を持って参加します。ご一緒にどうぞ!
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※10/4(水)2つの抗議行動にご参加を!

1.玄海原発再稼働やめろ!九州電力東京支社抗議行動
 日時:10月4日(水)17時30分より18時15分まで
 場所:有楽町電気ビル前(JR有楽町日比谷出口すぐ)
 主催:「再稼働阻止全国ネットワーク」TEL 070-6650-5549

2.第49回東京電力本店合同抗議のご案内
 東京電力の傲慢、独善、隠蔽、無責任体質は現在も継続中です
 東京電力へ抗議の声を挙げましょう
 日時:10月4日(水)18時30分より19時45分頃まで
 場所:東京電力本店前
 呼びかけ:「経産省前テントひろば」070-6473-1947
   「たんぽぽ舎」 03-3238-9035
 賛 同:東電株主代表訴訟ほか128団体
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┗■1.10/4(水)10時、原子力規制委へ緊急抗議行動・ご参加下さい!
 |  新潟からも申入書をもって規制委抗議に参加されます
 |  東電柏崎刈羽原発の再稼働を認めるな、フクシマは認めない
 └──── 「再稼働阻止全国ネットワーク」

 日時:10月4日(水)10時〜13時(定例会議は10時30分より12時)
 場所:六本木ファーストビル前(港区六本木1丁目9番9号)
     東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」から
     「泉ガーデンタワー」を経て徒歩4分 (小雨決行)
 主催:「再稼働阻止全国ネットワーク」TEL 070-6650-5549
    及び「原子力規制委員会毎水曜昼休み抗議行動」
  ※たんぽぽ舎も参加します

○ 54基の既存原発の再稼働を推進してきた原子力規制委員会が、柏崎刈羽原発
の設置変更許可の認可(「合格」と報道されている)について、この数週間の定
例会議でバタバタと異例の議論をしてきたが、とうとう10月4日(水)に柏崎刈羽
原発の設置変更許可を事実上承認しパブコメにかけることを目論んでいます。

 福島第一原発事故を起こした東電、イチエフの収束も廃炉への道も被害者賠償
も見えない中で膨大な費用を国民に税金と託送料金で払わせている東電、免震重
要棟の基準地震動未達を3年もひた隠しなど数々の不祥事を起こしている東電、
トリチウム汚染水問題で漁連を怒らせた東電、こんな東電に原発再稼働を許すこ
とはできません。

○ 田中俊一委員長体制で強引に決めようとした原子力規制委員会ですが、市民
運動やメディアの批判にさらされてなかなか決められず、いよいよ福島第一原発
と柏崎刈羽原発を並べて「あれはあれこれはこれとはいかない」と言っていた更
田豊志新委員長体制が柏崎刈羽原発の設置変更を認めようとしています。
怒りを結集しましょう!

○ 10月4日(水)も、10時半から定例会議が開催されます。
定例会議開始前の10時に原子力規制委員会前に集まって抗議を開始し、定例会議
を傍聴する方はそのまま中に入り、残った者は続けて外から抗議を続けましょう。
 また、今回は、新潟から及び福島からの規制委への申入書を10時10分に提出す
ることにしました。みなさん、是非少々六本木ファーストビル前に結集願います。
また、可能な方は原子力規制委員会定例会議の申込みをして傍聴してください。


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┗■2.「原発と大津波 警告を葬った人々」(添田孝史)を読んで
 |  津波の安全率1.0を「とりあえず」で決める
 |  原発の再稼働は認められない
 └──── 今井孝司(地震がよくわかる会)

○初めに
 東電の取締役3名(勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長)に
対する刑事裁判の初公判が6月30日に行われました。
 現在は東電が津波を予見できたかということが大きな争点となっています。と
はいえ、この公判の中身を理解するのは内容が多岐かつ膨大なため大変です。
 そこで、おさらいの意味もこめて、「原発と大津波 警告を葬った人々」(添
田孝史)(2014年11月20日)を再読しました。
 本にある年表と、「もっかい事故調オープンセミナー」での資料、及び、
当会HP( http://jishinga.com )で新規に作成した地震年表(【地震原発資料】
の「地震年表」)の内容等を組合せたものを当会HPにアップ(【特集】の「原
発と大津波(添田孝史)」)しました。
皆さんの「原発と津波問題」の理解の一助となれば幸いです。

○特に注目した項目(※以下の括弧付き数字はHP内のカウンタ)
(9)1966/12/15 福島第一原発1号機.設置許可申請
 東京電力は1951年から1963年(12年)までの観測による小名浜港の潮位から3.
1メートルの津波を想定。
(15)1986年 仙台平野で貞観地震の津波堆横物見つかる
 「海沿いの地層に、その跡が残るはず」と直感。実際に痕跡を見つけることに
成功した。そして1986年には、仙台平野で津波堆積物を地層の中からみつけた。
ここ3000年の間に少なくとも3回の大津波が起きていることがわかり、それは内
陸4キロまで入り込んでいた。
(25)2000/11/03 「とりあえず」安全率1.0(土木学会評価部会)
 ・主査・首藤伸夫・東北大名誉教授「議論もあるかと思うが、現段階では、と
りあえず1.0としておき、将来的に見直す余地を残しておきたい」
・今村文彦・東北大教授「安全率は危機管理上重要。1以上が必要との意識はあ
ったが、具体的に例えば1.5にするのか、従来の土木構造物並びで3まで上げる
のか決められなかった。本当は議論しないといけなかった」
(28)2002/03 土木学会が津波評価技術(土木学会手法)を策定
 2002年2月3日「とりあえず」(首藤氏の発言)定められた土木学会手法に従っ
て、東電は福島第一原発で想定される津波の高さを5.7メートルに見直し、保安院
に報告書を提出した。
(40)2008/03 東電が津波地震の津波高さを計算 東電による津波想定(15.7m)
 同じ月、シミュレーションの結果、津波地震が福島第一原発に高さ15.7メート
ルの津波をもたらす可能性があるとわかった。同年6月、東電の土木調査グルー
プは、武藤栄・原子力立地副本部長と、津波想定を担当する吉田昌郎・原子力設
備管理部長らにこの予測結果を説明する。
(42)2009/06/24 東電が貞観津波を想定していないことを耐震バックチェックW
Gで指摘される
(45)2011/03/07 東日本大震災4日前の「お打ち合わせ」(東電と保安院)
 発電所の津波対策については、土木学会原子力原子力土木委員会津波評価部会
における審議状況、貞観津波を視野に入れて社内検討を実施する。(現在検討中)
(56)2014/09/26 吉田所長の証言 逃がした対策の機会 自然を侮り 利益優先
 −東北電力女川原発(宮城県)では、869年の貞観津波を考慮している。福島で
は。
 「福島県沖の波源(津波の発生源)は今までなかった。いきなり考慮するのは、
費用対効果もある。お金を投資する根拠がない」

○まとめ
 特に恐怖を感じたのは、津波の安全率1.0を決めるに際して、科学的根拠もほぼ
なく、「とりあえず」という惰性で決められたというくだりだ。安全率1.0でとり
あえずいいという工作物がこの世にあったとは信じられない。このような非常識
がまかり通る原発はやはり再稼働してはならない。

補足:「安全率1.0」とは、エレベーターの定員・最大重量で言えば、「10人乗り」
の場合、11人乗れば落ちてしまう。
 仮に、「安全率2.0」とすれば「10人乗り」に「20人」乗った場合の重量でも落
ちないだろう。


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┗■3.メルマガ読者からの原発等情報1つ(抜粋)
 └──── 黒木和也 (宮崎県在住)

1.原発40年超運転を容認せず いちき串木野市議会
  MBC南日本放送9/27(水)19:08配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170927-00025631-mbcnewsv-l46


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┗■4.メルマガ読者からの「新潟日報」情報1つ
 └──── 金子 通 (たんぽぽ舎会員)

 ◆柏崎原発、審査書案を公表−規制委『合格』来月4日以降

 原子力規制委員会は27日、東京都内で開いた定例会合で、東京電力柏崎刈羽原
発6、7号機の再稼働の前提となる審査結果をまとめた審査書案を公表し、内容
の妥当性を議論した。事実上の合格証に当たる審査書案では東電福島第一原発事
故を踏まえてつくられた新規制基準に「適合している」と結論付けたが、委員か
ら質問が相次ぎ、結論は出なかった。合格は10月4日以降になる見込み。(中略)
 今後、審査書案がまとまれば、意見公募や東電の適格性について経済産業相へ
の意見照会などを経て正式に合格が決まる。工事計画の審査や地元同意の手続き
なども必要で、再稼働の時期は見通せない。
  (9月28日「新潟日報」より抜粋)
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20170928348643.html


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┗■5.新聞より2つ
 └──── 

 ◆柏崎刈羽原発「適合」 フクシマが認めない

 「ほかとは審査のレベルが違う」と言いながら、原子力規制委員会はすんなり、
柏崎刈羽原発再稼働への道を開いた。フクシマは認めてくれるだろうか。
 規制委は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非にかかわる審査に際し、原発運
転の「適格性」という、法律に定めのない領域に踏み込んだ。
 福島の事故を引き起こした東電に再び原発を動かす資格があるかないかの判断
だ。

 私たちも忘れていない

 東電の隠蔽(いんぺい)体質の根深さを、私たちも忘れていない。
 2002年、原子炉内のひび割れを隠すなど点検記録の改ざんが長年続いていたこ
とが、内部告発で発覚した。
 3・11後も変わらなかった。柏崎刈羽で昨年十月、東電が「ない」と主張し
ていた液状化による防潮堤損傷の恐れが「ある」と分かった。
 この2月には、災害時の指揮所になる免震重要棟の耐震不足を約3年間、規制
委に報告していなかったことが明るみに出た。
 そもそも福島第一原発で、15メートル超の津波が予想されながら、十分な対策
を怠った隠蔽と安全軽視の体質こそ、長い悲劇の始まりだった。時間をかけて、
よほどの覚悟と具体的根拠を見せないと、国民の不信と不安はぬぐえまい。
 (中略)

審査体制の再構築を

 そう、今回、はっきりしたことが2つある。
 1つは、規制委の審査適合は再稼働の合格証ではないということ。このことは
規制委自体も「安全を保証するものではない」(田中前委員長)と示唆してきた。
 もう1つは、原発事業者の適格性や安全文化を審査するには、技術者ばかりの
規制委の現陣容では不十分だということだ。
 指針づくり、法整備に加えて審査体制の再構築が、必要になったということだ。
  (9月28日東京新聞朝刊5面「社説」より抜粋)
 ※詳しくはこちらを
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017092802000138.html


 ◆カネといのち   鎌田 慧(ルポライター)

 先週末、ふたつの裁判があった。東電原発被害訴訟の判決と電通過労自殺裁判
の初公判。原発の安全神話をバラまいてきた政府と東電、それで大もうけした電
通。おなじ紙面に掲載された。
 「常習的犯行で、刑事責任は軽視できない」とは電通への検察論告。危険無視、
利益優先は電通ばかりか、原発会社特有の行動様式である。
 国は原発を国策として誘導する政策をつぎつぎに打ちだして、現在ばかりか、
遙か彼方の未来にわたる重大な危険を招いている。そればかりか、電力会社を使
嗾(しそう)して核発電をさせ、核兵器に転用されるプルトニウムを備蓄している、
海外から疑われている。
 福島事故のあと、地震大国での原発再稼働は無謀、と分かったはずだ。使用済
み燃料ひとつとってみても解決策はなく、原発稼働は「人格権の否定」(福井地裁
判決)として、人間と核との対立の認識が深まった。
 ところが、先週末の千葉地裁判決は、原発避難者への賠償には一定の理解を示
しながらも「回避措置をとったとしても事故は回避できなかった可能性もあり」
と国への責任追及を回避した。
 原発事故は不可抗力というものだが、それだったら、健康、人命、仕事、ひと
の繋がり、故郷、そのすべてを破壊する犯罪的行為の責任を、誰も取らなくてす
む。人命よりカネ。裁判所の判断である。
  (9月26日東京新聞朝刊27面「本音のコラム」より)
 
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Last modified on 2017-09-29 13:24:30
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労基法違反を認めた電通が、歩むべき道 – Campaign Japan

2015年末に起きた電通の新入社員自殺が労災認定を受けたのは、昨年9月末のことだった。以来、電通は“ブラック企業”としてその名を内外に轟かせてしまった。昨年末には、日本の労働問題に取り組む弁護士やジャーナリストたちがその1年の「最も悪質な企業」として認定する「ブラック企業大賞」まで「受賞」したのだ。

だが、この手の非公式の賞は話題作りに貢献しても、全体像は捉えていない。社員を死に至らせるような労働環境を改善できなかったことは確かに電通の落度で、厳しい批判を浴びて当然だ。しかし、もし電通が正真正銘の悪徳企業なら、今のような高いスキルと誇りを持った人材を惹きつけ、育て、そして維持することは不可能だろう。全ての社員が自分の役割に満足はしていないだろうが、それはどこの企業でも同じことだ。

現実には、電通は単体の企業ではない。企業家精神に満ちた複数の会社の集合体であり、広告に直接結びつこうとつくまいと、あるいはビジネスに良い結果が出ようと出まいと、信頼と才能のある人々にはその専門分野を発展させるチャンスを積極的に与える組織だ。個人の成長を鑑みてこれほどの自由を与える広告代理店は、世界のどこを見渡してもほとんどない。

と同時に、電通は日本社会の象徴とも見なされている。表面上は常に平穏でありながら、内では核心的な問題への取り組みを続けているのだ。新入社員の自殺は悲劇だったが、過度な重圧を受ける労働環境というのは広範な国家レベルの課題の1つにほかならない。政府は今年、国内の自殺率を「危機的状況にある」と言明、10年以内にその率を3割減らすと公約した(なぜ3割という数字を決めたのか定かではないが、とりあえず国の取り組みは始まった)。

電通の知名度を考えると、当局が同社を引き合いに出し、この件が公開審理になってしまうのは致し方ないことなのだろう(過労死でこのような事態になるケースは滅多にない)。それでも山本敏博・現社長が、自己の管理下で起きたのではないにもかかわらず(同氏はこの1月に社長に就任した)、組織の不正行為と欠陥を認める心構えでいたのは明るい材料だ。既に起きてしまったことは変えようがないが、組織内の浄化への取り組みは今後の課題の改善に役立つだろう。

肝心なのは、電通がこれから本当に行動を取れるかどうかだ。今回の社員の自殺は初のケースではなく、電通は過去においてその実質的対応を怠った。これまでのところ、問題解決のために労働時間の削減ばかりが取り沙汰されているが、それだけでは十分ではない。決められた時間に消灯することや、1週間分の仕事を4日間に詰め込むことだけが解決策ではないのだ。非効率性を改め、仕事量をより公平に分配することも欠かせぬ要素であり、クライアント企業も過度な要求を減らすという重責を担っている。その上で、既に組織の一部で確立されている「自主独立」の文化を広げていくべきだろう。

そのために必要なのは、管理職にある全ての人々が責任を持って行動し、自分の部下に対して義務を履行することだ。何よりも社員の「幸せ」を最優先に考えるべきなのだ。今回の事件でも明らかになった「いじめ」に対しては、ゼロトレランス方式でのぞむべきだろう。そして業務面では、個人の興味と才能に見合った仕事を社員に割り当てる努力をしなければならない。あるプロジェクトに情熱的に取り組む社員が残業を厭わないというのであれば、それは個人の自由だ。だが目標を達成するため、超過勤務が必須条件になるようなことは決してあってはならない。

こうした解決策は、他の多くの広告代理店やPRエージェンシーにも当てはまる。これらの企業は過重労働問題が取り沙汰されたとき、奇妙に沈黙を守っていた。それぞれの労働環境は決して完璧ではなかったはずなのに、どこも改善を明言しなかったのだ。海外企業にも同様のことが言える。それを端的に表す例が、この8月、シンガポールのあるグローバルエージェンシーでクリエイティブを務める匿名の人物からCampaignに送られてきた電子メールだ。この人物は、クライアントからの容赦のない要求や上司の優柔不断さ、そしてブリーフに積極的に取り組むために時間外勤務を強いられることなどへの不満を書き綴っていた。実に身近な話ではなかろうか。

電通への法的措置が決定しつつある今、同社はその資質を最大限に明示し、日本社会、そして願わくは世界の広告界を良い方向へと導く範を示すべきなのだ。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)

9月28日付 電通事件初公判 信頼回復へ意識改革を – 徳島新聞

9月28日付  電通事件初公判   信頼回復へ意識改革を  

 広告大手電通の違法残業事件の初公判が、東京簡裁で開かれた。労務管理を巡り、大企業の刑事責任が法廷で裁かれるのは初めてのことだ。

 

 法人としての電通を略式起訴した検察判断を、簡裁が覆した異例の裁判である。

 

 旧態依然の長時間労働を是とする日本の企業風土に再考を迫るものであり、略式手続きを「不相当」とした簡裁の判断は評価できる。

 

 公判では、労働基準監督署から再三にわたり、指導や是正勧告を受けていたにもかかわらず、抜本対策を講じなかった電通のずさんな労務管理の実態が明らかになった。

 

 華々しい業績の陰で、社員の命と健康を軽んじてきた企業責任は極めて重い。

 

 一部社員は今なお「隠れ残業」を続けているとも指摘される。法廷で山本敏博社長が労働環境を改革する決意を示したものの、どこまで組織体質を変えられるかは不透明だと言わざるを得ない。

 

 電通に求められるのは、徹底した原因究明と全社挙げての意識改革だろう。日本の企業全体に波及するような改善策を目に見える形で実行していかなければ、地に落ちた信頼は取り戻せない。

 

 過労死や過労自殺をなくす社会づくりは、最重要課題である。中小を含めた企業トップは指導力を発揮し、取り組みを加速させる必要がある。

 

 各政党も、官民で進む働き方改革を停滞させることがないよう、衆院選を通して議論を深めるのが大切だ。

電通過労死「ネット広告 法令違反は必然」元役員 実名で”最後の独白” – withnews(ウィズニュース)

 新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺し、労災認定されたことに端を発した電通の違法残業事件。電通元常務執行役員の藤原治氏は「ネット広告の部署で、法令違反が顕著となったのは必然」と言います。「労基法で救えない分野が現れ、根本原則も修正せざるを得なくなる」。かつて経営の中枢にいた電通元役員。”最後の独白”が訴えることとは?(朝日新聞記者・高野真吾)

「役員になるのは難しいが、務めるのは簡単」

 ―過労死を引き起こした電通の企業体質とは?

 「管理部門の方針が徹底されない『現場優先体質』に加えて、『経営管理の不在』もあります。常務執行役員になった私が言うのは非常にはばかられますが、電通では『役員になるのは難しいが、役員を務めるのは簡単』と言われてきました。『簡単』の背景には、経営層や管理部門は余計な口出しをせず、現場に任せておけばいいとの考えが見て取れます」

電通元常務執行役員の藤原治さん。電通では「役員になるのは難しいが、役員を務めるのは簡単」と言われてきたという

電通元常務執行役員の藤原治さん。電通では「役員になるのは難しいが、役員を務めるのは簡単」と言われてきたという

多くの経営陣「現場監督」のまま

 ―藤原さんは、MBA(経営学修士)を持っていますよね。

 「私は新聞雑誌局で地方紙を担当し、15年ほど現場にいる中で、広告会社のマネジメントに興味を持つようになりました。国内留学制度を利用し、慶応大のビジネススクールに2年間通って、MBAを取りました。その後、経理局、経営計画室長を経て、役員入りしたのです。経営が分かる役員だったと自負しますが、そういう役員は少数でした。ずっと現場で成績を積み上げ、経営陣にそのまま入ってきた『現場監督』が多数派だったのです」

 ―「現場監督」だと何が問題なのでしょうか。

 「経営陣には、現場よりも一段高い視点が求められます。現場だけでなく、管理部門や国内外子会社を含め、中長期に電通グループ全体の利益、繁栄を考えないといけません。『現場監督』のままでは、その仕事はできません」

藤原さんが通った慶応大のビジネススクールHP

藤原さんが通った慶応大のビジネススクールHP

色濃い「体育会系風土」

 ―電通の企業体質では「体育会系」ということが指摘されてきました。

 「先輩の命令は絶対という『体育会系風土』が色濃いのは事実です。実際、有名大学の体育会で活躍した人材を多く採用し、現場に入れてもいます。もともと電通には残業規制を含めた会社からの細かい管理を現場が嫌う『ユルユル体質』。黒子役が求められるあまり外部からのチェックが働きにくい『履き違えた自由体質』。二つの特殊性がありました。これらに『現場優先体質』『経営管理の不在』『体育会系風土』を加えうると、事件の背景が透けて見えてきます。それぞれの組織の結束は強固なものになりますが、各職場はタコツボ化し、いじめが生じやすくなるのです」

 ―そうした環境に慣れていない、新人の扱いはどうだったのでしょうか。

 「独特の強いプレッシャーを受けていました。新人が朝早く出社して上司や先輩のデスクを拭く。今はないと聞きますが、ある時期までは多くの部署で行っていました。また、私が新人時代にいた部署では、宴会の余興は新人の裸踊りと決まっていました。私は、反発して一切やりませんでしたよ。さすがにこの宴会芸の強要はなくなったと在職中に聞きましたが……。もともと体育会系の気質に慣れていないと、きついと感じる風土はあると思います」

電通本社ビル。会社は「体育会系風土」が色濃いという

電通本社ビル。会社は「体育会系風土」が色濃いという

ネット広告「仕事が切れ目なく続く」

 ―その新人だった故・高橋まつりさんはインターネット広告を担当する部門に配属されていました。
 
 「電通は1990年代まで、新聞、雑誌、テレビ、ラジオの四媒体を中心に広告業を展開してきました。そこに新分野としてスポーツなどのイベントを手がけるSP(セールスプロモーション)事業が加わりました」

 「この四媒体は物理的に掲載できる範囲が限定されています。仕事としては、決まった枠を埋めればいい。さらに一方方向のメディアのため、受け手の反応はネットほどには分かりません。いったん制作した広告は、しばらく変更なしで繰り返し使えました」

 「それに対し、ネットは物理的な範囲がなく、広告スペースも際限なく増やせます。広告のクリック回数も瞬時に正確に把握できます。結果、広告デザインの変更を頻繁に求められることになり、仕事が切れ目なく続いてしまう」

高橋まつりさんが過労死認定されたことを伝える昨年10月の朝日新聞の記事。1面に掲載された。

高橋まつりさんが過労死認定されたことを伝える昨年10月の朝日新聞の記事。1面に掲載された。

出典: 朝日新聞

「法令違反が顕著になったのは必然」

 ―ネット広告の労務管理は、四媒体の仕事よりも、難しいのですね。

 「『ユルユル体質』『履き違えた自由体質』で、四媒体の部署でも法令違反はしょっちゅうでした。ネット広告の部署で、それがより顕著となったのは必然です」

 「ネット広告専業の会社ならば、最初からネットの特性に合わせた労務管理を準備できます。ところが、長い歴史と実績のある電通だと、過去の成功体験に引きずられ適応が難しくなる。高橋さんが苦しめられた長時間労働は、電通の特異な企業体質とネット広告の特性が重なって起きた経営管理上のゆがみが生んだのです」

 ―電通では、社員の側に立つべき労組が会社に訴えていくことはなかったのでしょうか。

 「私は電通にあっては、なるべく自由人たらんとしていたので、労組のことは余り知りません。しかし、労組は元々、工場労働者に代表される『集団的労働者』を相手にします。電通みたいな会社では、その位置づけは大きくないと思います」

電通労組が昨秋、社員に向けて配布したビラ。朝日新聞記者が関係者から入手した

電通労組が昨秋、社員に向けて配布したビラ。朝日新聞記者が関係者から入手した

現行の労基法「全ての業務カバーできるのか」

 ―捜査の過程では、残業時間について労使が結ぶ「36(サブロク)協定」が労組の加入率の低下で、一時無効になっていたことが判明しました。

 「確かにこうした、ずさんな労務管理は問題で、速やかに改善すべきです」

 「ですが、私はそもそも現行の労働基準法が、全ての業務をカバーできるのかという問題意識を抱いています。現在、労働は驚くほど、多様化と質的変貌(へんぼう)を遂げています。賃金が働いた分に応じて払われるというのは世の常識ですが、問題はこの『働いた分』というのが、単純に時間だけで計算できなくなっている点にあります」

電通の36協定が一時無効になっていたことを伝える7月の朝日新聞記事

電通の36協定が一時無効になっていたことを伝える7月の朝日新聞記事

出典: 朝日新聞

「まつりさんの悲劇、構造的問題浮き彫りに」

 ―「働いた分」が時間で計算できない理由は?

 「労基法ができた戦後の経済状況は、まだ『復興』の域でした。主として復興を支えたのは重工業で、労基法が想定していた対象者は工場労働者でした。労基法に定める根本原則である『1週間40時間、1日8時間』は長年維持される基盤がありました」

 「しかし、昭和40年(1965年)代に入ると、高度成長期を迎え、第三次産業の比率も上がります。労基法で救えない分野が現れ、根本原則も修正せざるを得なくなります」

 「まず『変形労働時間制』を導入しました。『1週間40時間を守るなら、1日8時間は守らなくてもいい』というものです。月曜が10時間でも、火曜が6時間なら、つじつまがあうとします」

 「しかし、業務の多様化で、この最低限の改訂では追いつかない。じきに『1カ月単位の変形労働時間制』『1年単位の変形労働時間制』の導入に追い込まれます。『時間管理』が徐々に難しくなる中、社会はネット時代に突入し、いよいよ労基法の限界が見えてくるのです」

 「故・高橋まつりさんの悲劇は、日本社会が抱える構造的問題も浮き彫りにしたのではないでしょうか」

藤原さんの著書「広告会社は変われるか」(ダイヤモンド社)と「ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる」(朝日新聞社)

藤原さんの著書「広告会社は変われるか」(ダイヤモンド社)と「ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる」(朝日新聞社)

藤原治(ふじわら・おさむ)1946年、京都府生まれ。東大法学部卒、慶大大学院経営管理研究科(MBA)修了。72年に電通入社し、新聞雑誌局地方部に勤務。88年、世界平和研究所に出向。その後、電通・経営計画室長などを経て、2004年、電通総研社長兼電通・執行役員(05年、常務執行役員)に就任。06年退社。著書に「ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる」(朝日新聞社)、「広告会社は変われるか」(ダイヤモンド社)など。

漫画「また過労死」=作・吉谷光平さん

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<社説>電通事件初公判 過労死ない社会、早期に – 琉球新報 – 沖縄の … – 琉球新報

 何のために働くのか。命を縮めるほどの働き方を許してもいいのか。過重労働の罪深さを世に問い直すきっかけとなった電通違法残業事件の初公判が東京地裁で開かれた。

 事件を機に、働き方改革の議論が加速したものの、衆院解散により関連法案が国会提出できない事態になっている。政府の本気度が疑われる。
 一方、企業にも労働環境の改善が突き付けられている。長時間労働はいまだに多く、過労死のない社会に向け、早急な対策が求められる。
 電通は、新入社員・高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺が法人として労働基準法違反罪に問われた。高橋さんの残業時間は過労死ライン(月80時間)を大きく超える105時間だった。
 違法な長時間労働事件の場合、従来は略式命令で罰金刑を科す例が一般的だったが、今回は裁判所の判断で異例の正式裁判に切り替えられた。
 過重労働の問題を放置できないという世論の高まりを受け、裁判所も姿勢を改めたのだろう。今年は他の企業の違法残業事件2件でも正式裁判が開かれている。
 電通事件では検察側の冒頭陳述で、全社的に長時間労働が続いていた実態が明らかにされた。2014年度には労使協定(三六協定)の上限50時間を超えて働く社員が毎月1400人前後、15年4月以降も毎月100人以上いた。
 電通は1991年にも入社2年目の社員が過労自殺し、最高裁は会社側の責任を認めた。訴訟をきっかけに自殺を労災認定する要件が緩和され、14年には過労死防止法が施行された。
 出廷した山本敏博社長は起訴内容を認め謝罪した。公の法廷で企業トップの責任を追及して謝罪を引き出したことは、他の企業への強い警鐘にもなるはずだ。
 厚生労働省によると、16年度に過労死と労災認定されたのは107人、過労自殺(未遂含む)は84人。だが、氷山の一角との指摘もある。今も命に関わるほどの過重労働に苦しむ人は多い。古くから長時間労働を是としてきた日本の企業に巣くう病と言える。
 安倍政権も重い腰を上げ、働き方改革を「最重要課題」に掲げていた。残業規制を柱とした「働き方改革関連法案」を秋の臨時国会に提出する予定だったが、突然の衆院解散で先送りした。
 19年4月の施行予定が遅れる可能性も出てきた。政局優先で、国民の抱える深刻な問題を後回しにした判断だ。
 法案には、高収入の専門職を残業代支払いの対象から外す「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)も含まれる。過重労働に歯止めが利かなくなる恐れがある。残業規制制度だけは切り離して早期に導入すべきだ。
 本来は働くことに自己実現、生きがいを感じる働き方が理想的だ。その実現に向けて、企業、行政、社会の本気の取り組みが求められる。


日本電通坦言忽視員工超時工作 – 動腦新聞

(2017-09-25)2015年聖誕夜,日本電通一名女性職員疑似工作過勞,自殺輕生;9月22日(五)電通社長在法院審判過程中,承認資方忽視了員工超時工作問題。

日本電通在22日的判決中坦言,資方確實忽視了員工超時工作的問題。左一為電通現任社長山本敏博。(圖:japantimes)

(2017-09-25)全球知名行銷傳播集團日本電通(Dentsu),2015年底發生一起震驚國際的職員自殺事件,當地官方調查發現,該名員工疑似工作超時、職場人際關係不佳而選擇輕生。

時任電通集團社長石井直於今年1月向董事會提出辭呈,為這起事件負責、引咎辭職。

今年9月22日(五)日本電通接受法庭審判,現任社長山本敏博坦承,公司忽略了員工加班問題,以及同仁權利,才導致憾事發生。

這是該起事件的唯一一次判決,日本電通遭到政府裁罰50萬日圓,最終裁定預計將在10月6日確定。

審判後的記者會中,山本敏博首先向高橋茉莉的家屬致歉,並表示,日本電通確實沒達成該有的社會責任,才讓遺憾發生。

代表高橋茉莉家屬的委任律師川崎浩二肯定此次裁決,並表示,希望這起事件能讓更多公司,重視企業責任,不要再對非法加班的事實,睜一隻眼閉一隻眼。

川崎浩二在上周五審判後的記者會中指出,日本電通常期忽視職員加班過勞問題,在這次判決後,這個問題期待能有所改善。

電通社長「責任を痛感」 違法残業 – 日本経済新聞

 「働き方改革」を巡る官民の取り組みに大きな影響を与えた電通の違法残業事件。22日の初公判に出廷した山本敏博社長は「労務環境を改善できず社長として責任を痛感している」と謝罪した。同種事件では異例の公開審理となった背景には、過去にも若手社員の過労自殺が起きていながら長時間労働の是正に本腰を入れなかった同社に対する厳しい視線がある。

東京簡裁に入る電通の山本社長(22日午前、東京・霞が関)
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東京簡裁に入る電通の山本社長(22日午前、東京・霞が関)

 午前11時前に始まった初公判。傍聴席の最前列では2015年12月に過労自殺した新入社員、高橋まつりさん(当時24)の母、幸美さん(54)が厳しい視線で審理を見守った。

 黒っぽいスーツ姿の山本社長は緊張した面持ち。幸美さんに一礼してから証言台に立ち「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は論告で「社益を優先して労働者の心身の健康を顧みない被告会社の姿勢が引き起こした犯行」と厳しく批判。「各労働者が被った精神的、肉体的疲弊は想像に難くなく、そのうち1人は自殺に至っており、労働者に及ぼした影響も大きい」と指摘した。

 山本社長は「労働時間に関する是正勧告を複数回受けていたにもかかわらず根本的な解決を図れず、深く反省する」と謝罪。事件の背景として「仕事に時間をかけることがサービス品質の向上につながるとの思い込みがあった」と説明した。

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 電通では1991年にも入社2年目の男性社員(当時24)が過労自殺した。男性社員の遺族が起こした訴訟の和解条項に、同社は「事件を深く反省し、今後労務管理の徹底と健康管理の充実をより一層行う」と盛り込んだ。

 しかし、長時間労働は続き、労働基準監督署は高橋さんが自殺する直前の15年8月、東京本社に労働基準法違反で是正勧告していた。

 昨年11月に厚生労働省の強制捜査を受け、厳しい批判にさらされた同社。19年度までに従業員1人当たりの総労働時間を14年度比で2割削減し、残業をほぼゼロにすることを柱とする労働環境改革基本計画を今年7月に発表。採用増やロボットによる業務自動化などで業務負荷を減らすという。

 事件をきっかけに多くの企業が労務管理の見直しを進める中、同社の取り組みの成否に注目が集まる。

 この日は18枚の傍聴券に対し、584人の傍聴希望者が列をつくった。埼玉県羽生市の介護職の男性(35)は「自分の職場も長時間労働が常態化している。企業は若者が亡くなった事実を重く受け止め、改善してほしい」と求めた。

 さいたま市の女子大学生(20)は「栄養士として働く姉が仕事が理由でうつ病になったことがあり、今回の裁判に注目していた。電通がこれからどう働き方を改善していくのか、社長の口から聞きたい」と訴えた。