営業担当者に必要な適性・スキル

適正・スキルがないと安易に判断しないで

営業の適正について誤解している人が多い

営業の適正について誤解している人が多い

みなさんは営業担当者に必要な適性・スキルというと、どんなものを思い浮かべるでしょうか。

お客さんが抱えている課題やニーズを適切にキャッチするためには、課題発見能力が必要になるでしょうし、商品提案のときにはプレゼンテーション力が不可欠となるでしょう。また人脈構築力があった方が、営業活動をより有利に進めることができます。そのほかにもいろんな適性・スキルが思い浮かぶと思います。

ただし今回は、営業に求められるさまざまな適性・スキルの中でも、「最低限これだけは身につけておきたい」というベースとなる適性・スキルについて解説したいと思います。まずは「適性」からお話ししましょう。

適性1:人が好きである

人と会うのが営業の仕事

人と会うのが営業の仕事

営業職は、毎日たくさんの人に会ってコミュニケーションをとることが求められる職種です。したがって人に会うことや、コミュニケーションをとることが苦痛な人には、さすがに厳しい仕事だといっていいでしょう。基本的には、人と会うのが好きであればあるほど、適性があるといえるでしょう。

ただし、「人が好き」というのは、「話し好き」という意味ではありません。確かにプレゼンテーションの場面では、自分が伝えたいことを相手にわかりやすく話す力が求められます。でも普段の商談の場面では、話す力だけではなく、相手の話をしっかりと聞きながら、お客さんの悩みやニーズ、性格などをつかんでいく力も必要とされます。

話すだけではなく、聞くことも大事。つまりお客さんと会話のキャッチボールができることが、営業職には求められます。

適性2:前向きである

営業職は、ストレスやプレッシャーが重く両肩にのし掛かってくる仕事です。職場からは高い達成目標やノルマを課されますし、お客さんからはさまざまな要望や要求を出されます。ときにはクレーム対応に追われることもあります。

そこで大切になってくるのは、困難な状況に直面したときや、大きな失敗をしたときでも、必要以上に落ち込まないことです。失敗を引きずることなく、すぐに気持ちを切り替えられる「前向き」さが不可欠となります。

ただし、ここでも誤解してほしくないのですが、「前向き」というのは、「外向的でいつも元気いっぱい」とか「楽天家で脳天気」という意味ではありません。大きな問題が発生したり、失敗したときには、その原因を冷静に分析し、改善策や事後策を考えます。そのうえで気持ちを切り替えて、次の仕事に臨むのです。

つまり、気持ちを常に安定した状態にコントロールできる人であることが、営業職の適性としてとても重要になってくるわけです。この「気持ちを常に安定した状態に保てる」ことは、大きな失敗をしたときだけではなく、日々の営業活動でも必要なことです。

仕事をしていると、「どうしても今日はやる気が起きない」とか「サボりたい」といった気持ちが強くなる日があるものです。こんなとき営業は、比較的サボりやすい環境にあります。内勤とは違い、外回りをしているときは誰からの監視も受けないからです。だからつい喫茶店でムダに時間をつぶしたり、といったことになりがちです。

雨の日も晴れの日も、調子のいいときもスランプのときも、安定した精神状態で、淡々と仕事に取り組むことができる。営業には、そんな「前向き」さが求められるのです。

適性3:幅広い好奇心がある

営業職は、1人でたくさんのお客さんを担当しています。扱っている商品によっては、1人でさまざまな業界のお客さんを相手に営業活動をしなくてはいけないケースも多いでしょう。

業界が異なれば、抱えている課題やニーズも異なってきます。円高が進めば、輸出産業は打撃を受けますが、輸入産業にとっては追い風になるというように、社会の情勢が企業に与える影響も、業界によって異なってきます。

そこでお客さんの置かれている状況や、抱えている課題・ニーズを把握するために、普段から心がけておきたいのが幅広い勉強です。経済や景気の変動、業界動向、業界に影響を与える法改正などの動きなどを、新聞やビジネス誌などで定期的にチェックしておくことが大切になります。

好奇心の強い営業は、こうした社会の動きをこまめにチェックする努力を、たいした苦もなく自然とできているものです。だからお客さんの心をつかみ、お客さんのニーズに合致した提案をすることが可能になるわけです。

好奇心が強く、幅広い知識を持っていることは、お客さんと世間話をするときにも役立ちます。お客さんが興味を持ちそうな話題を提供して、話を盛り上げ、お客さんとの関係を深めていくことができるからです。

スキル1:「第一印象力」を身につけている

また会ってもらうために、初回は第一印象で点数稼ぎを

また会ってもらうために、初回は第一印象で点数稼ぎを

次はスキルについて述べていきます。スキルでまず求められるのは、「第一印象力を身につけている」ことです。

第一印象力とは、初めて会ったお客さんに、「この営業担当は信頼できそうだな」「これからも付き合っていけそうだな」という好印象を抱かせる力のことをいいます。

営業職が第一印象力を身につけているかどうかは、商談の行方に非常に大きな影響を及ぼします。初対面の場面で、お客さんから「この営業はなんか冴えないな」と思われてしまうと、2回目以降にその印象を覆すのは簡単ではないからです。場合によっては、2回目以降の商談を断られてしまうということもあり得ます。

第一印象力を高めるためには、相手に不快感を与えない身だしなみと、ビジネスマナーを確実に身につけることがポイントとなります。具体的な身だしなみとビジネスマナーの身につけ方については、「営業のマナー・身だしなみ」で詳しく述べているので、参照ください。

スキル2:「コミュニケーション力」を身につけている

営業は、お客さんとコミュニケーションをとりながら商品提案をするのが仕事ですから、コミュニケーション力は必須のスキルになるといっていいでしょう。どんなに頭の回転が速かったり、ロジカルシンキングができたとしても、コミュニケーション力がなければ営業としては成功しません。

コミュニケーション力は、さらに「わかりやすく話す力」「察知力」「ヒアリング力」の3つのスキルに分解することができます。

「わかりやすく話す力」とは、相手の理解およびニーズの度合いに応じて、わかりやすい論理構成で、わかりやすい言葉を使って話す力のことです。「立て板に水」のごとく能弁に話す必要はなく、多少は木訥な喋り方でもかまいません。むしろあまりに淀みなく早口で喋ると、営業マンのスピードにお客さんがついてこられなくなることがあるので要注意です。

次に「察知力」とは、相手の表情やちょっとしたしぐさから、お客さんの感情を読み取る力のことです。「お客さんは、この話題に強い興味があるみたいだぞ」とか「少し退屈しているみたいだな」というように、お客さんの心の動きを鋭く感じ取り、話題や話し方を臨機応変に変えていくわけです。

3つめの「ヒアリング力」とは、お客さんの話に耳を傾け、お客さんが言いたいことを正確に受け取る力のことです。ヒアリング力を高めることで、お客さんのニーズに合った提案をすることが可能になります。

適性やスキルは、努力によって身につけられる

営業は仕事を通して成長・変身する。適正・スキルも仕事を通じて身につく

営業は仕事を通して成長・変身する。適正・スキルも仕事を通じて身につく

さて、みなさんは今の段階で、自分には営業マンとして必要な適性・スキルがどれぐらい身についていると感じるでしょうか。

「自分は営業職に就いてはいるけれど、前向きでもないし、コミュニケーション力も今イチ。本当は営業向きではないと思う」と、自己分析をしている人も多いかもしれません。

しかしご心配なく。『プレジデント』誌の2007年7月30日によれば、同誌で営業管理職や一般営業職の方にアンケートを行ったところ、「あなたは営業職に向いていますか」という質問に対して、73%が「いいえ」と答えたといいます。しかもトップ営業についても、同様の結果が出たといいます。

これは何を意味しているのでしょうか。おそらく現在営業職として活躍している人の多くは、最初から適性やスキルがあるわけではなかったのだと思います。本人もそれを自覚しており、必要な適性・スキルを、努力によって後天的に身につけた人が多いということでしょう。だから多くの人が、「あなたは営業職に向いていますか」という質問に対して、「いいえ」と答えているのではないでしょうか。

今の段階で、適性やスキルがないからといってあきらめる必要はありません。努力を続ければ、どんな人だって優れた営業職になるための適性やスキルを身につけることが可能です。地道な努力の継続を大切にしてください。