2018年1月から配偶者控除がどう変わる?

平成30年1月より、配偶者控除に所得制限が付く!

平成30年1月より配偶者控除に所得制限ができ、配偶者の所得がどんなに少なくても大黒柱が年収1220万円以上の場合、配偶者控除は受けられなくなりました。平成30年の年末調整から配偶者控除額が以下のように変わります。

配偶者控除

配偶者控除に所得制限が付きました。

*老年控除対象配偶者とは70歳以上の配偶者です。

配偶者特別控除も変わる!

平成30年1月以降より、パートの働き方の壁「103万円の壁」(給与所得控除65万+基礎控除38万=103万)が無くなります。大黒柱が特別控除を受けられる配偶者の所得が拡大し、配偶者がパート収入150万(所得85万)円までは、大黒柱が38万円の配偶者特別控除を受けられるからです。

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、拡大されました。

150万円より怖い?130万円の壁

配偶者のパート収入150万円超えると大黒柱の配偶者特別控除の額がやや減らされますが、所得税額や住民税額が多額に増えるわけではありません。例えば大黒柱の給与収入1100万円、配偶者がパート収入160万円だった場合、大黒柱は配偶者特別控除36万円を使えるため、所得税約4600円、住民税2000円が増えるだけなのです。

ただし、会社員・公務員の配偶者はパート収入130万円超えると月1万6490円の国民年金保険料と6000円から7000円(自治体により異なる)の国保保険料を配偶者自身が払わなければなりません。150万より前に「130万円の社会保険の壁」を気にする必要があります。

会社員・公務員に扶養されている配偶者は家庭の事情で年収調整が必要?

今回の改正により給与収入1220万円以上の高所得者には配偶者控除・配偶者特別控除がなくなりました。高所得者の配偶者が働くとき、パート収入103万円も150万円も210万円も意識する必要はありませんが、会社員・公務員の配偶者なら社会保険「130万円の壁」は残るので気を付けましょう。

平成29年1月より、会社と従業員で合意があれば、被保険者500人以下の事業所のパートでも社会保険に入れるようになりました。「社会保険に入るパートの壁106万円」は残ります。パート本人が社会保険に入ることは長い目で見れば、配偶者の年金も増え、退職後失業等手当をもらうこともできるのですが、1年の短期で手取りの損得を気にするなら年収125万円以上を目指しましょう。

2年目以降の住宅ローン控除 年末調整の書き方はコレ

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅を購入する際(もしくは増改築する際)、その資金手当てとして金融機関などからの借入金が発生した場合、その借入金の年末残高と居住年の控除率に応じて、税金を減額してくれる、持家の取得を促進するための優遇税制のことです。

例えば平成26年の年末に5000万円の通常の住宅を購入し、即入居。購入資金として4500万円の住宅ローンを組んだとしましょう。この場合、借入額は4500万円でも、住宅ローン控除の対象となるのは4000万円までなので、「4000万円×1%=40万円」をダイレクトに税額から控除できるのです。

なお、現行の住宅ローン控除では、優先的に所得税から控除し、引き切れない場合は13万6500円を限度として、翌年度分の住民税から控除します。

消費税増税後の住宅ローン控除

平成26年4月から消費税率が8%に、さらに平成31年10月からは消費税率が10%になることが予定されています。これにともない特に税率が8%から10%にアップされる際には、税率引き上げ前の駆け込み需要とその反動の景気の落ち込みというものを軽微にとどめるため、下記のように住宅ローン控除は平成33年12月まで伸長されています。また、一般住宅と認定長期優良住宅・認定低炭素住宅では後者の方が優遇されているのが特徴です(下図 参照)。

消費税アップにともなうローン控除延期のイメージ図(出典:国土交通省資料より)

消費税アップにともなうローン控除延期のイメージ図(出典:国土交通省資料より)

同様にすまい給付金や贈与税の非課税措置も伸長されているので、消費税増税分、住宅ローン控除減税等で対応したいという方向性となっています。

一般には住宅ローン控除という名称で知られていますが、正しくは「住宅借入金等特別控除」という名称です。そのため、税務署からの書類名称や記入欄にはこの「住宅借入金等特別控除」という記載がされています。

住宅ローン控除が適用される1年目は確定申告が必要

はじめて住宅ローン控除の適用を受ける場合には、必ず確定申告しなくてはなりません。

また、ここに規定する住宅については、持家の取得を促進するための優遇税制ですので、別荘や賃貸物件の購入といった場合には対象となりません。つまり、自己の居住の用に供する住宅をローンを組んで購入した場合、住宅ローン控除の対象となるのです。

なお、購入してから6カ月以内に住み始めることが条件で、かつ適用を受ける年の12月31日まで居住を継続していることがポイントです。年末時点で居住していなければ、住宅ローン控除の適用の要件を満たしていないので、翌年の3月15日までに住宅ローン控除の確定申告の提出も不可となります。

年末時点での居住と翌年の3月15日までの申告書提出は、セットでおさえておきましょう。

住宅ローン控除は2年目以降、年末調整される

このように、住宅ローン控除の適用初年度にきちんと確定申告を行うと、給与所得者の場合には、残りの住宅ローン控除の適用可能年分の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」という用紙が税務署から送られてきます。

この用紙は毎年毎年、年末調整の時期にそのつど送られてくるのではなく、残りの適用年分、つまり残りの9回分、まとまって送られてきます。そのため、きちんとした場所に保管してください(もし見当たらなければ、税務署に再発行の手続きをすることとなります)。

住宅ローン控除を年末調整してもらうための手続き

「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」という用紙には、具体的には以下のような事項を記載することとなります。

・新築または購入にかかる借入金等の年末残高

・家屋または土地等の取得対価の額

・家屋や土地の総床面積のうち居住用部分の占める床面積や割合

・その年に適用となる住宅借入金等特別控除額

例えば下記のケースのように、平成28年9月に居住開始した「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の記載例を考えてみましょう。

・金融機関からの借入金年末残高1950万円、ただし、連帯債務者としてその内975万円を負担

・建物の取得対価の額2000万円、土地の取得対価の額2200万円

(記載例には本人の持分として建物1000万円、土地1100万円を記入)

・家屋の総床面積120平米(内居住用部分100平米)、土地の総床面積120平米(内居住用部分100平米)

勤務先に提出する住宅ローン控除申告書の記載例(出典:国税庁資料より)

勤務先に提出する住宅ローン控除申告書の記載例(出典:国税庁資料より)

この記載例のように、連帯債務による住宅ローンの年末残高がある場合には、記入者本人の負担すべき割合に応じて住宅ローン控除の対象となる金額を算定しておく必要があります。複数の金融機関にローンを申請している場合には、それら借入金の合計額を記入することになります。また、一部を店舗もしくは事業用に使用するなどして、全てを居住の用に供していない場合には、住宅ローン控除対象額が必ずしも住宅ローンの年末残高と同じとはならず、居住用部分の床面積の割合に応じて少なくなることもあります。

年末調整の対象にならない人は要注意

このような記載がきちんとなされれば、2回目以降から住宅ローン控除は確定申告をすることなく、年末調整で完了することとなります。つまり、はじめての住宅ローン控除の恩恵は春先に受け、2回目の住宅ローン控除の恩恵は年末に受けることとなるので、居住年の翌年は2回、税の優遇メリットを享受できることとなります。

しかし、年末調整の対象とされない人は要注意です。具体的には以下のような人が該当するでしょう。

・年の中途で退職し、年末時点でどこにも在職していなかった

・年の中途で退職し、起業・独立した

・継続して同一の雇用主に雇用されない日雇労働者だった

このような人は年末に在職しているとはいえず、年末調整することができません。したがって、年末調整を受ける機会がなかったのですから、2回目以降の場合も自分で確定申告をする必要があります。


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年末調整や確定申告でよく聞く扶養親族とは

扶養親族は税務上どのように定義される?

扶養親族となりうる家族・親族の範囲を確認しておこう

扶養親族となりうる家族・親族の範囲を確認しておこう

「結婚したら仕事を辞めて扶養に入る」などのように、「扶養」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。扶養とはそもそも何なのでしょうか。扶養親族の明確な基準について理解した上で、年末調整や確定申告で扶養控除を申告しましょう。

税務的に扶養親族とは、以下の要件を満たす16歳以上(年末時点)の人が対象となります。

  • 配偶者以外の親族(=6親等内の血族および3親等内の姻族)または児童福祉法の規定による里子や老人福祉法の規定により市町村長から養護を委託された老人であること
  • 同一生計であること
  • 1年間の合計所得金額が38万円以下であること
  • 事業専従者ではないこと 

納税者に上記の要件を満たす扶養親族がいると、扶養控除という所得控除(詳しくはこちらの記事を参照)を受けることができ、税務上、有利になります。

一般的に扶養親族というと、同居している子どもというイメージを持ちがちですがそれだけではありません。上記の要件について、誤解しやすいポイントとともに詳しく解説します。

扶養親族は子どもでなくてもよい

扶養親族とは上記のとおり、民法の規定に準じて「6親等内の血族、もしくは3親等内の姻族」としています。納税者を基準に考えると、例えば孫も祖父祖母も2親等ですので扶養親族の対象となるわけです。意外と範囲が広いですね。

なお、配偶者は3親等内の姻族に含まれるものの、配偶者控除の対象になるので、扶養親族とはなりません。名称が異なるだけで、配偶者控除も扶養控除の適用形態のひとつと考えておくといいでしょう。

扶養親族は同居でなくてもかまわない

扶養親族の要件のひとつに、「同一生計であること」があります。これについては、勤務や就学、療養などの都合で日常生活を共にしていない親族でも、税務上の同一生計とされる場合があります。

例えば

  • 単身赴任や就学、病気療養などの事情で同居していなくても、余暇には起居を共にしている場合
  • これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

などです。「娘を大学に通わせるため、親元を離れての一人暮らしの仕送りをしている」(=学資金の送金)「祖父や祖母の病気療養費を支払っている」(=療養費の送金)というケースでは、同居でなくても「同一生計」と捉えていいということですね。

合計「所得」金額38万円以下とは「収入」のことではない

扶養親族の要件である「合計所得金額38万円以下」とは、収入金額のことではありません。収入と所得は日常会話では特に区分することなく使用している人もいますが、税法上では実は別ものです。

所得とは、収入から必要経費(所得の区分によっては税務上、法定されているものもある)を差し引いた後の金額です。必要経費は所得の種類によって異なってきます。アルバイトと年金受給者を例に解説します。

パート・アルバイト:年収103万円以下なら合計所得38万円以下になる

パート・アルバイトにおける合計所得38万円以下とは、収入でいうと103万円以下のことです。この場合、所得の区分は「給与所得」という扱いになり、必要経費は「給与所得控除」(下表参照)となります。

平成28年以降の給与所得控除の早見表

平成28年以降の給与所得控除の早見表

給与所得の算式は次のとおりです。 この表の180万円×40%で計算した金額が65万円に満たない場合には65万円という箇所がポイントで、アルバイトの年収が103万円以下であれば、結果として給与所得金額が38万円以下となり、ここでいう合計所得金額38万円以下の要件を満たすというわけです。

年金受給者:65歳以上か65歳未満かで異なる

親族の方の年齢と年金受給額をこの表にあてはめてみてください

親族の方の年齢と年金受給額をこの表にあてはめてみてください

では、年金受給者(ここでいう年金とは、国民年金や厚生年金といった公的年金等とします)の場合はどうでしょうか?

公的年金等を受け取った場合の所得金額は、次の計算式で求めます。

ここで注意したいのが、公的年金等の受給者が「65歳以上」か「65歳未満」かで、公的年金等控除額の最低額が異なることです(前者は120万円、後者は70万円)。

所得金額から逆算すると、下記のような算式が成り立ちます。

【65歳以上の場合】

所得金額38万円=年金受給額158万円-控除額120万円
【65歳未満の場合】

所得金額38万円=年金受給額108万円-控除額70万円

つまり、65歳以上の親族がいてその人の年金受給額158万円以下、もしくは65歳未満の親族がいてその人の年金受給額が108万円以下の場合、生計を維持するための生活費や療養費の援助をしていれば、扶養親族の対象になるということです。

なお、基準となるのは合計所得金額です。他にも所得があるなら、それらを合計しなければなりません。

縮小傾向にある扶養控除

コンクリートから人へという政策でした

コンクリートから人へという政策でした

この扶養控除は平成22年度の税制改正で子ども手当(現:児童手当)政策、あるいは高校授業料の実質無償化政策と引き換えに一部廃止・縮小することとなりました(右記参照)。

具体的に以下の通りです。

  • 年齢0歳~15歳までの扶養控除廃止(児童手当と引き換え)
  • 年齢16歳~18歳までの扶養控除縮小(高校授業料の実質無償化と引き換え)

サラリーマンなどの給与所得者は扶養控除の縮小や給与所得控除額に引下げといった税制改正の影響を受けて、たびたび源泉所得税額表が変更されています。平成29年分以降の最新の源泉徴収税額表は下記のとおり。

平成29年分以降の源泉徴収税額表(出典:国税庁資料より)

平成29年分以降の源泉徴収税額表(出典:国税庁資料より)

扶養親族の範囲をあらためて確認し、扶養控除の対象であれば、年末調整や確定申告などできちんと節税しましょう。

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年末調整で還付金がもらえる人とは? いつもらえる?

年末調整をすると必ず税金が戻ってくる!?

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年末調整とは、勤務先がそこで働いている人の代わりに行う簡易的な確定申告です。

年末調整によって税金が必ず還付されると思っている人、もしくは還付税額(戻ってくる税金額)がいつもより少ないと「今年は昨年より税金の負担が増えたのでは?」と疑問を持つ人もいるようです。しかし、どちらも間違った認識です。その理由を、年末調整の仕組みをおさらいしながら解説し、どんな人が還付金をもらえるのかを挙げていきます。

※確定申告(還付申告)をしたときの還付金については「還付金はいつ振り込まれる?どの銀行口座でもよい?」をご覧ください。

【目次】

1:源泉所得税は強制徴収?

2:源泉所得税は税金の前払い

3:勤務先はどんな情報をもとに源泉所得税の額を決めている?

4:年末調整で還付金をもらえる人とは

5:税額が多いからといって還付金も高くなるとは限らない

6:年末調整の還付金が振り込まれるのはいつ?

1:源泉所得税は強制徴収?

例えば独身の人で、健康保険料や厚生年金保険料など社会保険料を控除した後の給料が月8万8000円以上なら、毎月の給料から所得税を天引きする決まりになっています。この「天引き」は「源泉徴収する」ともいいます。

「源泉徴収義務取引」といって、税務上で規定されている一定の取引では、支払額総額を相手先(この場合はそこで働いている人)に支払うことはできず、所得税を天引きしなくてはいけません。これは個人事業主であろうと会社組織であろうと、勤務先に課せられた義務です。このことを総じて源泉徴収義務といいます。

したがって、「本来、源泉徴収すべきであった取引において源泉徴収しなかった」ことは税法上、違法となってしまうのです。

2:源泉所得税は税金の前払い

給料も源泉徴収義務取引のひとつなので、源泉徴収されてしまうのは仕方ありません。しかし、給料支払時に差し引かれる源泉所得税はあくまで前払い。正しい金額ではありません。

例えば飲み会に参加した場合、前もって会費が徴収された上に「急に参加人数が増えた」というケースもあるでしょうし、あるいは「思ったより酒代がかかってしまった」なんてこともあるでしょう。「急に参加人数が増えた」というケースでは「会費に余裕が出たので返します」となるでしょうし、「思ったより酒代がかかってしまった」というケースでは「追加で○○円お願いします」といったことに出くわした人もいるでしょう。そんな状況をイメージしてみてください。

この場合の「前もって徴収された会費」に相当するものが、毎月の給料から差し引かれている源泉所得税です。

また、源泉所得税は決して正確な金額とはいえません。事前に知りうる情報内において決まっていることなので、超過額や不足額が生じることもあるのです。

3:勤務先はどんな情報をもとに源泉所得税の額を決めている?

では、勤務先はどのような情報を事前に知っていて、源泉所得税額を差し引いているのでしょうか。

先ほど、「独身で、社会保険料控除後の給料が月8万8000円以上なら、毎月の給料から源泉所得税を差し引かなければならない」と述べました。実はここに、あるキーワードが隠されています。「独身」と「社会保険料控除後の給料」という情報です。

勤務先としては、「独身か既婚か」「子どもがいるのかいないのか」といった情報は「扶養控除等(異動)申告書」の記入内容からわかります。また、「社会保険料控除後の毎月の給料」は、自社で給料計算をしているなら、給与台帳等から簡単に知ることができるはずです。

裏を返せば、源泉所得税の額は、

  • 配偶者を含めた扶養親族の数
  • 社会保険料控除後の毎月の給料

この2点のみしか考慮されていないのです。

※以下、参考までに、平成29年分以降の給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を載せておきます。給与所得控除などの税制改正が行われるたびに税額が変更になっています。

平成29年分以降の源泉徴収税額表(出典:国税庁資料より)

平成29年分以降の源泉徴収税額表(出典:国税庁資料より)

年末調整で還付金をもらえるのはどんな人?>>>

平成29年 生命保険料控除の書き方・記入例

生命保険に入ると「生命保険料控除」で税金が戻る

「生命保険に加入していると税金が安くなる」という知識があっても、会社員の場合、年末調整で適切に処理してもらう必要があります。

そのために大切なのが、「保険料控除申告書」の該当欄に正しく記入すること。実際の記入例をもとに解説しましょう。

※その他の年末調整書類の書き方>>誰でも簡単! 年末調整書類の書き方

生命保険料控除とは

生命保険に加入していると税金が安くなるのは、「生命保険料控除」が受けられるからです。

生命保険料控除の対象となる保険契約は、

  • 一般の生命保険契約
  • 個人年金の保険契約

さらに平成24年1月からは

  • 介護医療に係る保険契約

が加わりました。保険料控除申告書には、この3つに区分して記入します。

ただし、契約時期によって次のような区分もあり、計5つの区分が存在することになります。

  • 平成23年12月31日以前に契約を締結したもの(旧契約)
  • 平成24年1月1日以降に契約を締結したもの(新契約)
生命保険料控除の区分(出典:国税庁HP)

生命保険料控除の区分(出典:国税庁HP)

ハガキなどで送られてくる「生命保険料控除証明書」を確認

書類の提出時には、10月下旬から11月中旬に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」も添付(あるいは提示)する必要があります。控除証明書には必要事項が明記されているため、さほど心配することはありません。

保険会社によって表現の違いはありますが、一般の生命保険契約なら「一般用」あるいは「介護医療用」、個人年金の保険契約であれば「個人年金用」などと明記されています。また、平成23年12月31日以前に契約を締結したものなら「旧」、平成24年1月1日以降に契約を締結したものなら「新」と明記されています。

したがって、生命保険料控除証明書が手元に届いたら、紛失せずきちんと保管しておきましょう。

※万が一、生命保険料控除証明書をなくしたら?>>>保険料控除のハガキの見方と紛失時の対応方法

生命保険料控除の記入例

以下は、上記5区分のうち4区分の保険に加入している場合の記入例です。ご覧のとおり、保険会社名や保険の種類、新・旧契約の区分、支払った保険料だけでなく、契約者名や受取人を記入する欄もあります。

生命保険料控除の記載例(出典:国税庁undefined年末調整のしかたより)

生命保険料控除の記載例(出典:国税庁 年末調整のしかた)

※一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の詳しい書き方>>年末調整の生命保険料控除証明書はどう書く?

保険料控除申告書に契約者・受取人を記入する理由

なぜ契約者や受取人なども記入しなくてはいけないのでしょうか。それは、税務上で優遇される生命保険には次のような規定があるからです。

  • 本人自身が支払ったものか
    (給与天引きされたもの、あるいは、勤務先が負担した保険料で給与として課税されたものを含みます)
  • 保険金等の受取人のすべてが所得者本人または配偶者や親族か

そのため記載例でも、契約者は本人(山川太郎)、保険金等の受取人は本人または配偶者(山川明子)ということが明記されています。

生命保険料控除の金額はいくら?

生命保険料控除額の計算式は以下のとおりです。平成24年1月1日以降に締結した新契約なら【計算式1】を、平成23年12月31日以前に締結した旧契約なら【計算式2】をあてはめて、両方の控除額を合算(もしくはいずれか大きいほうを採用)します。

生命保険料控除の算式(出典:国税庁undefined年末調整のしかたより)

生命保険料控除の計算式(出典:国税庁 年末調整のしかた)

前出の記入例を、上の記算式にあてはめてみましょう。

●一般の生命保険料

新契約 2万4000円×1/2+1万円=2万2000円

旧契約 3万6000円×1/2+1万2500円=3万500円

→これらの合計額と4万円、いずれか大きいほうを採用するので、控除額は「4万円」となります。

●介護医療保険料

新契約 4万8000円×1/4+2万円=3万2000円

控除額は「3万2000円」となります。

●個人年金保険料

旧契約 7万2000円×1/4+2万5000円=4万3000円

→新契約の4万円と旧契約の4万3000円、いずれか大きいほうを採用します。この場合の控除額は「4万3000円」となります。

今回の記入例では、合計で11万5000円の生命保険料控除を受けられるわけです。

以上のように、保険の区分や新・旧のいずれかを明確にすることが一番のポイントです。

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パート・アルバイトでも年末調整の対象になる

年末調整の対象になるのは正社員だけとは限らない

特定の勤務先から給料・賞与をもらっている人は原則、雇用形態(正社員、非正規雇用、パート、アルバイト等)を問わず、勤務先で年末調整をしてもらうことで所得税が精算されます。

ただ、特にパートやアルバイトだと、本人の働き方によっては年末調整の対象になる場合とそうでない場合があります。あるいは年末調整済みでも、さらに確定申告すべき場合もあります。まずは、ご自身が年末調整の対象になりうるかどうかを確認しましょう。

パート・アルバイトで年末調整してもらえる人の条件は?

所得税は1月1日から12月31日までの所得の状況に応じて計算されます。これは確定申告でも年末調整でも同じです。

したがって、パートやアルバイトとして働いていて年末調整の対象になる人の条件は、以下の3点に集約できます。

・年間を通じてパートやアルバイトで得た年収が確定している人

年末時点で勤務している人

・年末時点で複数の勤務先に在職していない

パートやアルバイトであっても年末調整してもらえる勤務形態

パートやアルバイトであっても年末調整してもらえる勤務形態

つまり、パート先やアルバイト先が1社で、その勤務先以外には働いておらず、年末時点で在職していれば年末調整してもらえることとなります。

また、年の中途でA社を退職し、年の中途でB社に転職したというケースでも同様です。A社から発行された源泉徴収票をB社に提出すれば、年末時点の勤務先であるB社において、1月1日から12月31日までの所得の状況が把握できます。そして、B社で年末調整してもらうことにより、所得税の精算が完了するのです。

このようなケースでは、年末に在職していた勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出することが重要です。「扶養控除等(異動)申告書」を提出すること自体に「こちらがメインの勤務先(あるいは年末時点での勤務先)であるので、年末調整をしてください」という意味合いが含まれるのです。

パート・アルバイトで年末調整の対象から外れる人とは?

一方、勤務先の立場からすれば、今まで述べてきたことから一つでも外れると年末調整の対象から外れることになります。

たとえば、C社とD社でアルバイトを掛け持ちしている人がいたとします。C社から見てもD社から見ても、他の勤務先の所得状況は把握できず、年収が確定していないことになります。そのため、年末調整はできません。

年末時点で在職しておらず、「ここを辞めたあと別のところで働いている」という状況では、そもそも年収が把握できません。

また、年末時点で複数の勤務先に在職している人(図を参照)は、1社だけでは複数の勤務先の年収が把握できず、必然的に年末調整できない人となるのです。

勤務先のいすれにおいても年末調整できないケース

勤務先のいずれにおいても年末調整できないケース

このような場合は、年の中途で退職した際に発行してもらった源泉徴収票と、年末まで在籍した勤務先に発行してもらった源泉徴収票とを合算し、ご自身で確定申告する必要があります。

なお、源泉徴収票の発行期限は以下のとおりです。

年末調整の対象者:翌年の1月31日(つまり平成29年分の年末調整は平成30年1月31日)

年の中途で退職した人:退職日から1カ月以内

源泉徴収票は確定申告する際の集計資料として重要ですし、税務署に添付または提示が必要となる書類です。必ずもらうようにしましょう。

パートやアルバイトで払い過ぎた税金が戻る人もいる

パート・アルバイトの人で、「年収が少額であるにも関わらず、ある特定の月の給与の受給金額が多く、源泉所得税が差し引かれている」といった場合には、年末調整(あるいは確定申告)により税金が戻る可能性が高いといえます。というのも、毎月の給料から差し引かれている源泉所得税は、あくまでも概算だからです。

年末調整の作業とは、毎月の給与や賞与から差し引かれている源泉所得税が年収ベースで正しいかどうかをチェックし、もらうすぎであれば還付、少ないのであれば徴収することで所得税の精算が完了する、というもの。たとえば、年収ベースで103万円以下であれば、所得税の負担はなくなります。

所得税の課税対象、つまり税率がかかる対象となる金額は、年収から給与所得控除所得控除(14種類)のうち適用できるものを差し引いて算定されます。

給与所得控除は最低で65万円、所得控除のうち誰でも適用できる基礎控除が38万円なので、前述の年収103万円の例なら「103万円-65万円-38万円=0円」、つまり所得税の課税対象がゼロになります。

したがって、パート・アルバイトを掛け持ちしていても年収ベースで103万円以下ならば、「本来、徴収される必要のない源泉所得税が差し引かれていた」ということになり、その税金が戻るという仕組みなのです。

一方、パート・アルバイトを掛け持ちしている人というのは税法上、「2箇所以上から給与の支払を受けている人」となります。メインの給与収入以外の給与収入金額が20万円を超えるなら、「税金が戻る・戻らない」にかかわらず確定申告が必要です。すべての勤務先の年収(源泉徴収票の支払金額)から給与所得控除の金額(162.5万円以下は65万円)を差し引き、その金額が38万円を超えていたら、確定申告の対象者となりますので注意してください。

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源泉徴収票がもらえない!どんな手続きをとる?

源泉徴収票は退職・転職した人にとって特に重要

源泉徴収票を発行してもらえないなら、まずは税務署に電話をしてみるのも手です

源泉徴収票を発行してもらえないなら、まずは税務署に電話をしてみるのも手です

年の途中で退職した、転職した、医療費控除住宅ローン控除を自分で確定申告する……いずれも場合も、サラリーマンにとって必要になるのが源泉徴収票です。

たとえばA社を退職し、B社に再就職した場合、A社で発行してもらった源泉徴収票をB社に提出することで、B社での年末調整が可能となります。

所得税の原則は「暦年基準」といって、1月1日から12月31日までの年収が確定していることが前提条件です。前職の源泉徴収票がないと年収が確定せず、年末調整の対象者とはならないのです。

会社が源泉徴収票を発行してくれない…とるべき手続きは?

しかし、信じられないことに、この源泉徴収票を発行してくれない会社というのが存在するようなのです。

そのような場合は、納税地を所轄する税務署(通常は住民票のあるところ)に相談に行き、「源泉徴収票の不交付の届出書」(画像参照)を提出してみましょう。

源泉徴収票の不交付の届出書(国税庁ウェブサイトより)

源泉徴収票の不交付の届出書(国税庁ウェブサイトより)

所得税法で源泉徴収票の発行は規定されている

所得税法226条には、次のような規定があります。

給与等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年1月31日までに、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない(一部省略)

つまり、給料の支払いを行っている側(つまりは勤務先)からみれば、「会社側では源泉徴収義務もきっちり果たしていますし、そのことを源泉徴収票の発行という形で税務署にも報告しています。あとはご自身の責任で、転職先で年末調整を行なってもらうなりご自身で確定申告を行うなり、きっちり処理してね」という趣旨ともいえます。

源泉徴収票を発行しない会社には共通点がある

幣所の無料相談にいらっしゃって、実際に「源泉徴収票の不交付の届出書」を出した方の話では、「念のため、社長の自宅・携帯など可能な限りの連絡先を教えてください」と言われ、かなり熱心に対応してもらったとのこと。

いろいろな方に話を聞くと、源泉徴収票の発行を怠るような会社は総じて「業績の悪い会社」「社歴の浅い会社」という傾向があるようです。

会社法が施行されていわゆる「資本金1円会社」が設立できることになり、便利になったのは間違いありません。しかし、起業・独立・会社経営などというと何となくカッコよく、きらびやかなイメージが先行して会社を立ち上げてしまった方。「年に1回決算を行って、税金を納めればOK」というわけではありません。

書類の到着が遅延している方、書類が受け取れていない方。「それって所得税法226条の規定に違反していると思うんですが……」と抗議を入れた後、上記のような行動を取ってみてはいかがでしょうか。

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