年末調整は全員必要?扶養控除申告書の役割とは?

会社員にとって年末調整を受けるのは義務

年末調整は会社員の義務

年末調整は会社員の義務

会社員でも確定申告する方は結構いらっしゃると思います。医療費控除、1年目の住宅ローン控除、ふるさと納税など還付のためや、不動産所得などほかにも所得がある場合などなど。

では、このように確定申告するつもりの方は年末調整を受けなくてもよいのでしょうか?

答えは「ノー」です。

年末調整は、個人が受ける・受けないといった選択ができるものではなく、必ず受けなければならないと法律で決まっているものなのです。年収2000万円の方など一定の方は年末調整の対象外ですが、大体の会社員は対象者となります。

「確定申告すれば結局同じじゃないか!」なんて思う方もいらっしゃると思いますが、もし個人ごとにそうしたことを認めてしまうと、年末調整で画一的に所得税を精算しようする趣旨が無意味になってしまいます。

扶養控除申告書は必ず提出しよう

年末調整のときは、通常2種類の紙が渡されます。

1枚は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下扶養控除申告書)という紙で、もう1枚は「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」(以下保険料控除申告書)です。

どちらも長くて覚えづらいですが、確定申告するつもりの方でも必ず会社に提出しなければならないのは、扶養控除申告書のほうです。

扶養控除申告書は、年収103万円以下の配偶者や子など、扶養の対象者が誰かを申告する書類です。おそらく年末調整のときは、その年分と翌年分の2枚が渡されると思います。その年分は年末調整の資料として使い、翌年分は翌年の給料から天引きする所得税の計算のために使用します。いずれも記入の上提出しましょう。

記載にあたっては、家族全員分の名前を書く必要はありません。扶養に入れる方のみで大丈夫です。本人や扶養に入れる方のマイナンバーも記載する必要があります。遠方で一人暮らしをしている学生の子どもや両親を扶養に入れる場合などは、しっかりと各自のマイナンバーを確認しておきましょう。

扶養控除申告書は細かい字が並んでいるため、見ただけで拒否反応を起こしてしまう方もいるかもしれません。とはいえ、確定申告書の代わりになる重要な書類です。いろいろと記入する事項がありますが、面倒くさがらずに記入しましょう。一人暮らしなどで家族がいない場合は、ハンコを押すくらいしかないかもしれませんが、扶養控除申告書は会社に提出すること自体が義務なのです。

もう一方の保険料控除申告書は、生命保険料控除や地震保険料控除などを受けるために提出します。こちらは「どうせ確定申告するから、生命保険料控除もその時に申告しよう」とお考えの方は、特に提出しなくても大丈夫です。もしくは、会社から出すようにいわれたら、ハンコだけ押して提出しておけば問題ありません。年末調整が強制ということと、年末調整でどの控除を受けるのかは別のハナシです。

住宅ローン控除も同じで、年末調整で受けるか確定申告で受けるかは個人の自由です(ちなみに1年目は必ず確定申告が必要です)。

扶養控除申告書を提出しなかったら?

しばしば、扶養控除申告書を提出するかしないかで天引きされる所得税が変わるようなこともいわれますが、そもそも扶養控除申告書の会社への提出は、給与を受ける人の義務です。必ず提出するようにしましょう。

ちなみに、家族構成や収入状況は年々変わる可能性もあるので、扶養控除申告書は毎年出さなければなりません。入社時に出したから、あとは大丈夫というものでもないのです。

では、出さなかった場合はどうなるのでしょうか?

この場合、原則として乙欄と呼ばれる取り扱いがされます。ちなみに扶養控除申告書を提出した場合は、甲欄と呼ばれる取り扱いとなります。甲欄と乙欄とは所得税の計算表の欄のことですが、その違いは天引きされる金額です。甲欄に比べて乙欄は数倍から、ときには十数倍の所得税が天引きされてしまいます。どちらの扱いかによって、同じ額面でも手取りがかなり変わってくるのです。

会社としては、提出の義務を果たさない社員には容赦なく乙欄といったところもあれば、出したことにして甲欄で計算してくれるところもあります。天引きされた所得税は確定申告や年末調整で精算できるとはいえ、毎月の手取りが大きく減ってしまうのは社員の生活にも影響を及ぼしかねないので、やむを得ない対応かもしれません。とはいっても、提出しないため乙欄で計算されて手取り額が大きく減っても、社員は文句は言えません。何度も繰り返しますが、扶養控除申告書は必ず提出するようにしましょう。

ちなみに副業でアルバイトをしている方などは、メインの仕事の方で扶養関係の控除は考慮されてしまっているので、副業側では扶養控除申告書を提出できません。この場合、副業側の収入は乙欄で計算され、副業側の年収が20万円を超えていれば確定申告の必要があります。越えていなくても、所得税の還付を受けられる場合も多いので、確定申告することをオススメします。

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資本金とは?増資などの意味と用語も解説

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資本金とは何?解説します

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新規事業の立ち上げでお金が必要となったときなどに、会社がお金を調達する方法には大きく分けて3種類があります。

一つは内部留保です。簡単にいいますと、それまで上げてきた利益などを積みあげて、貯まったお金のことです。

もう一つは金融機関からの借入金です

そして最後が投資家から出資を募集(これを増資といいます)することです。

ここでは内部留保は使わず、新たに外部から資金を調達すると仮定しましょう。そうなると、使える手段は借入または増資です。

借入で調達した資金は借入金として負債の部に計上され、増資で調達した資金は資本金となります。

このように、資本金とは、資金調達を増資で行った場合に、受けた出資金額の合計額をいいます(厳密にいえば、一部のお金は資本準備金という別の項目とすることもできますが、話が複雑になるので、全て資本金に計上することにします)。

ちなみに、創業時は、他者から出資を受けるのはハードルが高いので、多くの場合は自分で自分の会社に出資します。そのため、会社を設立した際の最初の資本金は自己資金で始まるケースがほとんどです。

資本金で会社の価値は判断できる?

先ほど書いたように、資本金とは、過去に出資を受けた額の合計額です。ここで重要なことは、資本金の額はその後の会社の業績とは切り離されて金額が固定される、ということです。つまり、会社が新規事業からどれだけ利益を上げても資本金の額は変わらないのです。

簡単な例を挙げてみましょう。

トヨタの資本金は約6300億円(2016年時点)です。相当な金額に見えますが、トヨタ自動車の利益(売上ではありません)は年間1兆円という数字であり、今後も利益を上げ続けることを考えると、会社の価値が6300億円のわけがない、ということは誰にでもわかります。

このように資本金はあくまで出資を受けた元手であり、その後その出資を利用して生み出した価値の増加(もし新規事業が失敗して、赤字となれば減少)を反映していないのです。もっといえば、資本金の額だけを見て、会社の価値を判断することは危険ですらあります。

極端な例ですが、上場廃止となったスカイマークの資本金は約140億円でしたが、最後は株も無価値となりました。

このことから、単純に資本金の額で会社の価値は判断できないことが分かります。

会社の価値はどうやって判断する?

まずは、そもそも会社の価値とはなんでしょうか。

考える観点によって、顧客満足度や従業員満足度、社会貢献度などいろいろな尺度がありますが、お金の観点からは、将来どの程度の利益を上げられるかという基準で測ります。会社は継続していくことが前提である以上、将来に目を向けて価値を測るのは当然といえます。

それまでどれだけ良い業績を積み上げても、例えば、翌年国の政策転換や顧客嗜好の変化などで一気に業績の悪化が見込まれる会社があるとしたら、その会社の価値は低いものとなります。逆に、その会社がその後数年にわたって業績を伸ばしていけば、当初集めた資本金の何倍もの価値をもつことになるのです。

実際には、将来の利益は、プロのアナリストが経済政策や企業の経営方針など様々な情報を駆使してようやく算出できるもので、その数字も必ずしも当たるとは限りません。

このように、会社の価値を厳密に計算すること自体が相当困難であり、会社の価値の増加、もしくは減少の方向性を見極められることだけでも相当なスキルが要求されます。基本的に株価は会社の価値を表しますので、もし会社の価値の方向性をある程度正確に予測できれば、投資でもかなり優位に立つことができます。

会社の価値は、資本金のような見かけの数字ではなく、もっと会社の事業展開や政策を理解しないと分からない深いものなのです。

※2006年に公開した旧ガイド・森 康博さんの記事を全面改定し掲載しています。