臨床心理士とは?資格と仕事の概要を解説

臨床心理士は人間の「心」の問題にアプローチする「心の専門家」

日本の現代社会においては、自殺者の増加、児童虐待、DV、ひきこもり、不登校、非行など人々の「心の問題」が取りざたされ、「心の時代」と言われて久しいものがあります。

このような時代において強く求められ、期待されている職業が、「臨床心理士」です。

「臨床心理士」は、心理学、その中でも特に臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の「心」の問題にアプローチする「心の専門家」です。

臨床心理士の活動領域

臨床心理士の活動の領域は、医療・保健、教育、福祉、司法・法務・警察、産業・労働、私設心理相談など多岐にわたります。

文部科学省認可の資格

日本には心の問題に係る民間資格が多数存在しますが、「臨床心理士」資格は、それらと一線を画しており、文部科学省の認可する財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験(指定大学院修了等の比較的ハードルの高い受験資格要件あり)に合格し、認定を受けることで取得できる「心理専門職の証」となる信頼性の高い資格です。

例えば、文部科学省の実施する全国公立小・中学校へのスクールカウンセラー任用において実質的要件が臨床心理士の資格所有者とされているのは、その代表的な例だと言えるでしょう。

臨床心理士の4つの専門行為

臨床心理士は、単なる心理カウンセラーではありません。
次の4つの「臨床心理士の専門行為」のスキルを有しています。


(1)臨床心理査定(心理アセスメント)

問題の状況や課題などを心理テスト等を用いての心理査定技法や面接査定などによって明らかにし、内面的理解や支援活動に役立てます。


(2) 臨床心理面接(心理カウンセリング・心理療法)

相談に来られる方々の課題に応じてさまざまな臨床心理学的方法を用いて、心理的な問題の克服や困難の軽減、健全な人格形成にむけて支援します。


(3) 臨床心理学的地域援助

地域コミュニティ等の心の健康に関わる人的援助システムの助言や相談、運営に関わります。


(4)臨床心理学調査・研究活動

援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する研究・調査を行います。

資格更新制度と倫理綱領

また、こうした4種の業務について、なお一層の心理臨床能力の向上・研鑽のために、学会発表や専門研修などを要件とする厳格な「資格更新制度(5年ごと)」、高い人格性の維持のための「臨床心理士倫理綱領」の遵守などが定められています。

日本臨床心理士会及び他機関との緊密な連携

臨床心理士は、日本臨床心理士会 及び 全国の都道府県ごとに組織された臨床心理士会に所属し、会員相互の研鑽に励むとともに地域に根ざした活発・地道な活動を行い、他の臨床心理士や医療機関・医師などと緊密な連携を保ち、様々な事態にも対応できるように備えています。

臨床心理士の歴史

なお、日本臨床心理士資格認定協会が設立され、臨床心理士の資格認定がスタートしたのは昭和63(1988)年です。平成28(2016)年4月1日現在で、31,291名の臨床心理士が認定され、様々な分野で活躍しています。