Jトラストは売られ過ぎ感強めて反発期待、18年3月期収益改善期待 – 財経新聞

 Jトラスト<8508>(東2)は、銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指して事業基盤強化に取り組んでいる。17年3月期は評価損計上で利益予想を減額修正して赤字見込みとなったが、18年3月期は特殊要因が一巡して収益改善が期待される。株価は減額修正も嫌気して水準を切り下げたが、売られ過ぎ感を強めている。反発展開が期待される。なお5月12日に17年3月期決算発表を予定している。

■金融事業を中心に国内外でM&Aを積極活用して業容拡大

 国内外でM&Aや債権承継などを積極活用して業容を拡大している。そして銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指し、国内外において事業基盤の強化に取り組み、特に韓国やインドネシアなどアジア地域での事業拡大を推進している。

 事業セグメントは、国内金融事業(信用保証業務、債権回収業務、クレジット・信販業務、その他の金融業務)、韓国金融事業(貯蓄銀行業務、債権回収業務、キャピタル業務)、東南アジア金融事業(銀行業務、債権回収業務、販売金融業務)、総合エンターテインメント事業(アミューズメント施設運営、アミューズメント機器用景品販売、遊戯機周辺機器に関するコンピュータシステム等の開発・製造・販売)、不動産事業(戸建分譲中心の不動産売買、流動化不動産中心の収益物件仕入・販売)、投資事業、その他事業(遊技場中心の各種商業施設設計・施工、システム開発など)としている。

 16年3月期のセグメント別(連結調整前)営業収益構成比は、国内金融事業が15%、韓国金融事業が33%、東南アジア金融事業が16%、総合エンターテインメント事業が22%、不動産事業が8%、投資事業が4%、その他事業が2%だった。なお非金融分野の総合エンターテインメント事業および不動産事業は、連結子会社のアドアーズ<4712>(12年6月子会社化)が展開している。

■国内金融事業は新規ビジネスとしてビットコインサービスも開始

 国内金融事業では、日本保証(12年3月ロプロが武富士の消費者金融事業を承継、12年9月ロプロと日本保証が合併)、Jトラストカード(11年8月楽天KCを子会社化、15年1月「KCブランド」事業を譲渡、14年3月子会社化した個品割賦事業NUCSの「NUCSブランド」事業を承継、15年1月Jトラストカードに商号変更、15年5月完全子会社化)などを傘下に置いている。

 15年3月Jトラストベンチャーキャピタル合同会社がSmartEbook<2330>の無担保転換社債型新株予約権付社債および新株予約権を引き受け、15年4月子会社クレディアの全株式を売却した。

 16年6月子会社Jトラストフィンテックがビットコイン取引サービス「J-Bits」を提供開始した。Jトラストフィンテックは第1弾として15年8月からブロックチェーン情報サイト「コインポータル」を運営し、第2弾として「J-Bits」を開始した。

 16年9月には、15年4月に持分法適用関連会社化した日本最大ビットコイン取引所を営むBTCボックスの全株式(当社保有割合15.97%)を、夢真ホールディングス<2362>に売却した。経営資源の効率化や厳格なガバナンス・コンプライアンス体制確立の観点から、フィンテック事業を子会社Jトラストフィンテックに集約する。

■韓国金融事業は総合金融サービス展開に向けた事業基盤整備が完了

 韓国金融事業は、12年10月に貯蓄銀行認可を受けたJT親愛貯蓄銀行(15年7月親愛貯蓄銀行から商号変更)が13年1月韓国・ソロモン貯蓄銀行から、13年6月韓国・エイチケー貯蓄銀行から消費者信用貸付債権の一部を譲り受けた。さらに14年3月韓国・ハイキャピタル貸付および韓国・ケージェイアイ貸付を子会社化、14年8月韓国・ハイキャピタル貸付、韓国・ケージェイアイ貸付および韓国・ネオラインクレジット貸付の貸付事業を韓国・JT親愛貯蓄銀行に譲渡した。

 また15年1月韓国・JT貯蓄銀行(スタンダードチャータード貯蓄銀行から商号変更)の全株式を取得、15年3月韓国・JTキャピタル(スタンダードチャータードキャピタルから商号変更)の全株式を取得した。15年10月ネオラインクレジット貸付およびハイキャピタル貸付の全株式を譲渡して連結子会社から除外した。韓国において総合金融サービスを展開するうえでの事業基盤整備が完了した。

 なお16年10月に発表したDH貯蓄銀行100%子会社化については、韓国金融委員会への承認申請が受理されないまま、株式譲渡契約書の締結から6カ月経過したため、4月14日に契約を解除し、株式取得を中止すると発表した。

■東南アジア金融事業は成長市場のインドネシアに積極展開

 東南アジア金融事業は13年12月シンガポールの子会社Jトラストアジアがインドネシアのマヤパダ銀行と資本業務提携、14年11月インドネシアのJトラストインドネシア銀行(15年6月ムティアラ銀行から商号変更)を連結子会社化、15年5月Jトラストアジアの子会社Jトラスト・インベストメント・インドネシアを設立、16年5月インドネシアのマヤパダ銀行の全株式を売却した。

 Jトラストアジアは、販売金融事業のタイGLに対して15年5月転換社債引き受け、15年12月株式転換権行使、16年8月転換社債引受を実行し、17年3月14日にはGLが発行する新株予約権の買い付け、3月21日には転換社債引受完了を発表している。GLを東南アジアにおける戦略的パートナーとする。

 16年7月、JトラストアジアがGLと共同でインドネシアに設立した割賦販売金融事業のGLFI社(16年2月設立、出資比率20%で持分法適用関連会社)が、所要の免許を取得して業務開始した。

 16年10月Jトラストアジアが、モンゴル国金融規制委員会の許可が得られることを前提として、モンゴルのファイナンス事業会社であるCCI社の全株式を取得して子会社化すると発表した。

 16年11月Jトラスト銀行インドネシアの株式をGLに譲渡すると発表した。戦略的パートナーであるGLの事業提携に関するコミットメントを深め、さらなるパートナーシップの強化を図る。

■M&A・のれん償却・事業再編・不良債権処理などで収益変動

 四半期別の推移を見ると、15年3月期は営業収益が第1四半期159億28百万円、第2四半期160億51百万円、第3四半期161億41百万円、第4四半期151億61百万円、営業利益が3億58百万円の赤字、22億74百万円の赤字、6億89百万円の赤字、18億96百万円の赤字、16年3月期は営業収益が194億90百万円、182億88百万円、201億69百万円、175億31百万円、営業利益が19億51百万円の赤字、3億84百万円の赤字、2億27百万円の黒字、20億06百万円の赤字だった。

 M&A・のれん償却・事業再編・不良債権処理などで収益が大幅に変動する可能性がある。なお国際財務報告基準(IFRS)は任意適用時期を延期した。新たな公認会計士(優成監査法人)のもとでIFRS開示体制の整備を行うとしている。

 16年3月期(日本基準)の営業収益は過去最高を更新した。JT貯蓄銀行およびJトラストインドネシア銀行の通期連結も寄与して、銀行業における営業収益が増加した。営業利益は赤字が縮小した。事業規模拡大に伴って人件費、のれん償却、銀行業における営業費用が増加したが、貸倒引当金繰入額や利息返還損失引当金繰入額など貸倒関係費が減少した。経常利益、純利益は為替差損益悪化、負ののれん発生益一巡などで赤字だった。

 営業総利益は15年3月期比7.4%増加したが、営業総利益率は48.4%で同5.3ポイント低下した。販管費は同3.6%増加したが、販管費比率は53.8%で同8.2ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(15年3月期差益28億14百万円、16年3月期差損8億71百万円)し、特別利益では負ののれん発生益145億73百万円が一巡した。ROEはマイナス3.3%で同8.9ポイント低下、自己資本比率は32.1%で同2.7ポイント低下した。

 配当は同2円増配の年間12円(第2四半期末5円、期末7円)だった。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。

 セグメント別の営業利益(連結調整前)は、国内金融事業が同2.1倍の37億99百万円、韓国金融事業が2億60百万円の黒字(同62億96百万円の赤字)、東南アジア金融事業が78億98百万円の赤字(同1億57百万円の赤字)、総合エンターテインメント事業が4億75百万円の赤字(同3億85百万円の黒字)、不動産事業が同24.3%増の5億円、投資事業が同4.1倍の25億62百万円、その他事業が1億93百万円の赤字(同45百万円の黒字)だった。

 なお16年3月期連結業績をIFRSベースで推計すると営業収益747億円、営業利益21億円で営業黒字化を達成したとしている。日本基準と比べて、減損損失振替の影響がマイナス17億円、Jトラストインドネシア銀行の期ずれの影響がプラス12億円、のれん償却額の影響がプラス30億円、貸倒引当金の計算における差異の影響がプラス34億円、国内金融事業における買取債権の公正価値の増加の影響がプラス3億円になるとしている。さらに韓国金融事業において債権評価を実効金利法に変更した影響や負ののれんの影響を考慮すると、事業利益の水準は64億円相当としている。

■17年3月期第3四半期累計(日本基準)は黒字化

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4~12月)の連結業績(日本基準)は営業収益が前年同期比12.6%増の652億69百万円、営業利益が33億62百万円(前年同期は21億08百万円の赤字)、経常利益が30億07百万円(同15億25百万円の赤字)、そして純利益が3億22百万円(同10億45百万円の赤字)だった。国内金融事業が安定した収益を計上し、Jトラストアジアの投資事業におけるGLの転換社債が寄与して収益が大幅改善した。韓国金融事業の収益も改善した。

 セグメント別営業利益(連結調整前)は、国内金融事業が同23.7%増の35億54百万円、韓国金融事業が同21倍の11億37百万円、東南アジア金融事業が65億13百万円の赤字(同57億73百万円の赤字)、総合エンターテインメント事業が2億45百万円の赤字(同1億18百万円の赤字)、不動産事業が同19.7%減の2億94百万円、投資事業が同3.1倍の77億61百万円、その他事業が92百万円の赤字(同1億40百万円の赤字)だった。

 四半期別の業績推移を見ると、営業収益は第1四半期205億07百万円、第2四半期196億28百万円、第3四半期251億34百万円、営業利益は11億89百万円、51億29百万円の赤字、73億02百万円だった。第3四半期の営業収益は四半期ベースで過去最高となった。

■17年3月期通期は利益減額して赤字、18年3月期は収益改善期待

 前期(17年3月期)通期連結業績予想(日本基準)は4月14日に営業収益を増額、利益を減額修正した。前回予想(11月11日に減額修正)に対して、営業収益は5億97百万円増額して前々期(16年3月期)比18.7%増の895億70百万円、営業利益は100億87百万円減額して58億85百万円の赤字(前々期は41億14百万円の赤字)、経常利益は97億55百万円減額して70億64百万円の赤字(同46億78百万円の赤字)、純利益は96億15百万円減額して94億83百万円の赤字(同57億12百万円の赤字)とした。

 インドネシアの子会社2社の連結収益取り込みについて、従来は3カ月の期ズレで取り込んでいたが、将来のIFRS適用に備えて期ズレを解消するため17年3月期は15カ月分を取り込むこととしたため、期ズレの解消で営業収益を増額した。利益については、タイ・GL社の転換社債の新株予約権部分について、株価急落に伴って営業費用に評価損31億11百万円を計上する。第3四半期末時点では営業収益に評価益46億03百万円を計上していたため、営業収益の減少と営業費用の増加で結果的に77億14百万円の差損が発生する。また総合エンターテインメント事業において遊戯機の販売が計画を下回っていることも影響する。

 配当予想は据え置いて、前々期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。

 前期(17年3月期)の利益予想を減額して赤字見込みとなったが、タイ・GL社の株価下落に伴う転換社債の新株予約権部分の評価額変動という一過性の特殊要因であり、今後のタイ・GL社の株価が堅調に推移した場合は評価額が上昇する。したがって今期(18年3月期)は評価損一巡も寄与して収益改善が期待される。

■18年3月期ROE10.0%目標

 15年5月策定の中期経営計画では中期ビジョンとして「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業を目指す」を掲げ、経営目標数値は最終18年3月期営業収益1421億円、営業利益217億円、ROE10.0%としている。セグメント別営業利益(連結調整前)の計画は国内金融事業44億円、韓国金融事業83億円、東南アジア金融事業53億円、総合エンターテインメント事業11億円、不動産事業7億円、その他非金融事業5億円である。

 事業拡大が望めるアジア銀行業からの利益貢献を中心として、成長市場におけるIRR15%以上の投資案件をターゲットに3年間で500億円~1000億円の投資を目指す。また株式価値の最大化を経営の最重要課題の一つとして位置付け、株価が割安であると判断したときには機動的に自社株買いを実施する。

 国内金融事業では消費者金融事業を縮小し、不動産関連の信用保証事業および債権回収事業を拡大するとともに、M&Aを活用して新分野への進出を目指す。韓国金融事業ではグループ内の相互連携を通じて各事業を有機的に連携させ、債権残高積み増しと収益拡大に取り組む。東南アジア金融事業では、Jトラストインドネシア銀行の不良債権回収事業の収益強化と財務健全性の向上に取り組むとともに、さらなるM&Aを推進する方針だ。

 中期成長に向けて、M&Aや事業再編を活用したグループの事業基盤構築・強化に取り組んでいるため、M&A・事業再編および事業構造改革に伴う一時的利益・費用の計上で収益が大幅に変動する可能性もあるが、韓国事業の収益改善、東南アジアへの積極的な業容拡大、グループシナジーなどの効果で銀行業の収益が本格化し、中期的に収益拡大が期待される。

 なお16年5月に東証1部への申請に向けた検討を開始したと発表し、17年3月末を目途に申請を行いたいとしている。

■株価は売られ過ぎ感強めて反発期待

 株価の動きを見ると、タイ・GL社の株価急落を悪材料視し、さらに17年3月期利益予想減額修正も嫌気して、1300円台から急反落し、4月20日には813円まで調整した。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 なお3月10日には「GLの親会社であるウェッジホールディングス<2388>が3月8日にWeb上で公表したプレスリリースによれば、GLの財務諸表が適正である旨の記載がされた監査報告書を受領している説明があり、GL株の急落は一部報道機関による誤報によるものと思われます」とリリースしている。

 4月20日の終値822円を指標面で見ると、前期推定配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.5%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1455円90銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約925億円である。

 週足チャートで見ると一気に52週移動平均線まで割り込んだが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。反発展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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〔4月ロイター企業調査〕地域金融機関の再編85%が賛成、約半数が経営に懸念 – ロイター

[東京 21日 ロイター] – 4月ロイター企業調査によると、地域金融機関の統合・再編の動きを85%が肯定的に受け止めていることがわかった。メガバンクにはない地域の実情にあった対応やきめ細やかなサービスを評価する声が9割近くを占める一方、低金利の長期化を背景に、経営体力の低下を不安視する企業もほぼ半数にのぼる。経営体力を安定させ、地域密着型サービスを維持しつつ幅広い機能を果たす「地場メガバンク」としての存在が期待されている。

この調査は資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に4月7日─17日に実施。回答社数は250社程度。

調査では、地域金融機関の経営体力に懸念を持っているとの回答が48%と約半数を占めた。「国債に資金を預けておけば何となく運用できた時代は終わった。私募REIT(不動産投資信託)や私募投信でリスクをとっている地銀を見るにつけ、思い切った再編は不可避だと思う」(不動産)など、経営の危うさを指摘する声が挙がる。「低金利政策の長期化により体力的にかなり厳しくなっていると推測する」(化学)との見方から、融資機能にも限界があると企業はみている。

こうした状況のもとで、企業からは地域金融機関の再編に「賛成」との回答が85%と多数を占めた。「本来なら競争が望ましいが、昨今の経済情勢から地域金融機関存続のためにやむを得ないと考える」(機械)といった見方がある。

85%の企業が、地域金融機関の再編に賛成と答えた。

85%の企業が、地域金融機関の再編に賛成と答えた

しかも、現在の状況では「小規模乱立でほとんど金融機関として機能していない。規模を拡大して地域に根付いた姿勢で積極的な融資を進めないと存在価値がない」(輸送用機器)など厳しい指摘もある。また「不動産担保偏重の融資が相変わらず続いており、成長資金としてのニューマネーが適切に供給されていない」(サービス)など、リスクを取らない融資姿勢にも不満の声がある。

一方、地域金融機関として、メガバンクとは一線を画した存在価値が評価されている面もある。

「地域に密着し、県民性や文化性を深く理解している金融機関の存在は大きい」(建設)、「メガバンクより金利などの調達条件で柔軟な対応をしてくれることが多い」(金属製品)など、企業には不可欠な存在との見方がある。

調査結果からも、地域活性化や企業育成の観点からは「十分な役割を果たしている」が15%、「ある程度役立っている」が73%にのぼり、ほぼ9割が評価していることがわかる。

15%の企業が、地域金融機関が地域活性化や企業育成に十分な役割を果たしていると答えた。

15%が、地域金融機関が地域活性化や企業育成に十分な役割を果たしていると答えた。

地域金融機関の体力・健全性が再編で向上すれば一層メリットが生まれると企業はみている。「預金量増加により資金需要に対して対応額の幅が広がる」(小売)、「経営の安定によりサービスがより良くなると期待する」(非鉄金属)といった声がある。

日本郵政、数千億円損失か 豪買収企業「のれん代」 – 東京新聞

 日本郵政が、傘下のオーストラリアの物流大手「トール・ホールディングス」の不振に伴い、二〇一七年三月期決算で巨額損失の計上を検討していることが二十日、分かった。損失額は数千億円に上る可能性がある。資源価格の下落によって取扱量が減るなどし、トール社の収益が悪化したのが原因。損失を計上すれば、政府が準備中の日本郵政株の追加売却に影響が出る。
 日本企業による海外企業買収を巡っては、経営再建中の東芝が米原発会社で七千億円を超す損失の計上を迫られるなど巨額損失の発生が相次いでいる。性急な事業拡大や円高に乗じた安易な買収戦略が裏目に出て経営の打撃となっている。
 日本郵政が検討しているのは、トール社の買収時に発生した「のれん代」の評価引き下げだ。買収価格と、買収先の会計上の純資産の差額で、将来的な収益力やブランド力を表すとされる。通常は段階的に償却するが、価値が失われた場合には見直す必要がある。一六年末は三千八百六十億円が残っている。このうち数千億円を損失処理する可能性がある。
 日本郵政は二十日、トール社の業績が計画に達していないとして、損失処理の要否を含め検討中だと発表した。日本郵政は一七年三月期の連結純利益を前期比24・9%減の三千二百億円と見込んでいるが、損失が計上されれば大幅な縮小が避けられない。社内には損失計上は不要だとの意見もあり、関係者の間で調整を進めている。
 トール社は日本郵政子会社の日本郵便が約六千二百億円で買収したが、目立った相乗効果が出ていない。トール社は今年に入り、首脳陣を交代するなど経営の立て直しを急いでいる。総務省など関係省庁もトール社の行方を注視している。
 政府は日本郵政の発行済み株式全体の三分の一超を手元に残した上で、それ以外を二二年度までに数回に分けて売却する計画。七月以降の追加売却を目指しており、三月に主幹事証券会社を選定した。郵政株の売却益は東日本大震災の復興財源に充てる。
<トール・ホールディングス> 日本郵政傘下の日本郵便が2015年5月に約6200億円で買収したオーストラリアの物流大手。アジア太平洋を中心に世界各地に拠点を展開。15年11月の株式上場を前に当時日本郵政社長だった西室泰三氏が国際物流を強化するため買収を主導したが、その後資源安の影響で業績が悪化。今年1月にはトール社の会長、社長が交代。3月末には部長など1700の役職を減らすリストラ策を打ち出した。

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NY株ハイライト 超高速取引のバーチュが合併、変わるHFTの業界模様 … – 日本経済新聞

【NQNニューヨーク=横内理恵】20日の米株式市場ではトランプ政権への政策期待が再燃し、ダウ工業株30種平均は174ドル高と反発した。ただ、このところ連日で100ドル超の上げ下げを繰り返しており、株式相場はレンジ内で日々強弱感が対立している状況だ。この日、話題を集めたのが超高速取引(HFT)大手のバーチュ・ファイナンシャルによる、同業のKCGホールディングスの買収発表だ。両社の株価は大幅高となった…

2017年4月21日(金) – 日本経済新聞

【NQNニューヨーク=横内理恵】20日の米株式市場ではトランプ政権への政策期待が再燃し、ダウ工業株30種平均は174ドル高と反発した。ただ、このところ連日で100ドル超の上げ下げを繰り返しており、株式相場はレンジ内で日々強弱感が対立している状況だ。この日、話題を集めたのが超高速取引(HFT)大手のバーチュ・ファイナンシャルによる、同業のKCGホールディングスの買収発表だ。両社の株価は大幅高となった…

国際競争力向上のための知財マネジメント – 日刊工業新聞

 経済のグローバル化が進み、大企業のみならず中小企業においても既に海外進出を果たしている企業が数多く存在する。統計データによれば、日本企業の海外売上高比率、海外生産比率、海外収益比率は堅調な増加傾向にあり、今後しばらくはこの傾向は変わらないものと考えられる(図1)。このような背景の中で、日本企業の国際競争力向上のため、主に特許を念頭に、グローバル知財戦略と知財マネジメントについて考察する。

 グローバル市場における事業環境はますます厳しくなってきており、国際的な競争優位性を確保するために知財をどのように出願、管理、活用するかは多くの企業にとって喫緊の課題となっている。日本特許庁における、特許出願全体は漸減傾向にあるが、一方で国際特許出願件数は漸増傾向にある。日本企業におけるグローバル出願率も増加傾向にあるが、欧米企業と比較した場合、必ずしも十分とは言い難い(図2)。特許は単純な数の議論だけではないものの、同じ国際競争の土俵に立った場合にどちらが有利かは明らかだろう。

 それでは、どこの国でどれぐらい特許出願すればよいのか。大原則として、大手企業でも中小・ベンチャー企業でも、事業展開している国、または今後事業展開する可能性がある国へは特許出願すべきである。

 詳細は割愛するが、鮫島正洋弁護士との共著「知財戦略のススメ」(2016年日経BP社)では、海外出願を決める三つのセオリーを提示している。

(1)まずはコンペティターの生産国、次にマーケット国に出願せよ

競合企業の生産体制や商流における自由度を阻害し、自社事業を有利にできる。

(2)転々流通型製品よりも、据え置き型製品の出願国を多くすべし

商流を見極め、電子機器のような転々流通型製品では、少なくとも最終製品の主要市場国で特許を取得すればよいが、工作機械のような据え置き型製品では、個別性が高く市場コントロールが難しいため、結果的に出願国数を増やす必要がある。

(3)現地生産法人の存在国に特許を出願せよ

親会社が現地で特許を取得することで、現地生産子会社にライセンスし、研究開発投資の回収としてロイヤルティーを徴収する仕組みを作る。

 世界特許なる制度が設立され、一つの手続きでグローバルで権利取得ができるようになればよいが、そう簡単には実現されない。したがって、企業は市場、競合、技術などの動向を見据えながら、自社の事業戦略とビジネスモデルに基づき、特許出願によるコストとリターンを勘案した上で、グローバル知財戦略を構築し実行していかなければならない。

特許の外部調達も進む

 IT技術の革新によって産業構造がこれまでにないスピードで変化してきている。特にIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボティクスなどが次世代産業として期待される中、従来型のモノづくりのための知財戦略からIoT時代に沿った知財戦略への転換が必要であろう。

 このような業界では、特許は必要ないという考えの経営者も存在するが、これは誤りである。実際にグーグルのような企業でも、特許出願は増加傾向にあり、自前での研究開発による特許出願だけでなく、M&A(合併・買収)での特許獲得や、特許購入・ライセンスなどにより、柔軟かつ迅速に外部調達もしている。さらに、営業秘密の観点も踏まえたオープン・クローズ戦略や標準化戦略によって知財を活用しながらプラットフォームやビジネス・エコシステムを構築し、事業の保護と拡大を両立させている。また欧米のベンチャー企業ほど知財に対する意識が高く、早い段階から海外出願をする傾向にある。

国際課税ルール対応も課題

 また、移転価格税制も重要な論点である。移転価格とは、簡単に言えば親子会社間での国境をまたいだ取引価格を指し、有形資産や無形資産の取引、役務提供など、さまざまな取引が対象となる。移転価格税制とは、移転価格と独立企業間(第三者取引)価格に乖離(かいり)がある場合、独立企業間価格で取引したとみなして課税する制度である。移転価格は、グループ内の各国の現地法人との利益配分や、実効税率の違いによる純利益に大きな影響を与える。特にライセンスは目に見えない上、個別性が高く実際の価値を評価し難いため、税務当局による指摘や更正を受けることが多く留意が必要である。

 さらに移転価格に関して、多国籍企業による国際課税ルールの隙間を狙った租税回避行為の防止を目的とした、OECD(経済協力開発機構)と20カ国・地域首脳会議(G20)による税源浸食と利益移転(BEPS行動計画)にも対応していかなければならない。これは国際課税ルールの共通化のための多国間協定であり、15の行動計画のうち、主要部分は無形資産に焦点が当てられている。

 いずれにしても、日本企業の国際競争力向上のためには知財マネジメントが重要であり、検討すべき課題は多い。近年はM&Aによる海外の競合企業やベンチャー企業の買収や、企業再編による分社化などにより、知財がグローバルに散在し、グループ全体として非効率が生じていることが多い。また、製造拠点のみならず、研究開発拠点を海外に設立する企業も増加している。グループ経営におけるグローバル戦略という視点から、知財マネジメントを実行し、全体効率の最適化や、シナジーの最大化を実現することが求められる。

【デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 シニアヴァイスプレジデント 小林 誠】

こばやし・まこと 国際特許事務所を経て現職に至り、知的財産が重要となる製造業およびICT(情報通信技術)業界全般のM&Aアドバイザリー業務、および知的財産コンサルティング業務を専門としている。K.I.T.虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院)客員教授

【業界展望台】知財活用特集は、4/28まで連載中です。(全9回)

ホットランド/キッシュ事業の子会社を吸収合併 – 流通ニュース

ホットランドは4月20日、連結子会社でキッシュ事業を手掛ける1016を吸収合併すると発表した。

グループにおける事業再編の一環として、経営資源の集中と組織運営の強化と効率化を図る。

1016で運営していたキュシュ事業を主体とする飲食事業は既に自社で譲り受けており、今後もキッシュ事業を重要な事業領域として展開する。

2016年12月期の1016の売上高は2億2823万円、営業損失1億717万円、経常損失1億468万円、当期損失1億486万円だった。